第142話 比叡山との戦争?
俺からの攻撃命令を受けて、先陣の渡辺守綱が颯爽と突撃していく。
「行くぞ、坊主の姿をした逆賊を討つのだ!」
守綱は仕切りに逆賊をアピールする。
そうする事で兵士達を鼓舞すると共に比叡山傘下の門徒達にも圧をかけていく。
「守綱に続くぞ、鳥居隊、進撃開始!」
鳥居元忠は渡辺守綱と違い、ゆっくりと確実に相手に攻撃していく。
「やめよ!我らは僧侶であるぞ!攻撃すると仏罰がぁ・・・ぎゃあ!」
仕切りに仏罰と叫ぶ僧侶に鴉が襲いかかり片目をくり抜く。
「見よ!僧侶の名を騙る不届き者に仏罰が下ったぞ!」
元忠はこれみよがしに声を上げる。
それは言い逃れが出来ないほどの衝撃を両軍に与える。
土御門軍にとっては間違っていないと言う安心感。
そして、比叡山にとっては仏罰が下ったと言う絶望感だった。
「だ、駄目だ、やはり御仏はお怒りなのだ。
お許しください。不信心者の私をどうかお許しを・・・」
目玉を取られた僧侶は地面に平伏し、謝りながらお経を唱え始める。
その姿を見て戦う門徒はいなかった。
武器を捨て許しを願うもの、比叡山に逃げ込む者、戦場自体から逃げていく者と・・・
信仰心の強い門徒兵は命を御仏に捧げるから強いのだ。
ただ、その信仰心にヒビが入った時、それは一気に反転した。
門徒兵は僧侶の豪遊を知らない訳ではなかった。
ただ、それは御仏が許している以上、触れる事が出来なかったが、仏罰が下った以上、それは許されざる事であり、搾取されてきた者達は怒りとなって比叡山に襲いかかる。
「や、やめよ!仏罰が下るぞ!」
寺に襲いかかる門徒達に僧侶は仏罰を叫び、静止をはかる。
「うるせえ!御仏に逆らって贅沢三昧してるのはお前らだ!」
「帝に逆らっている、逆賊めが!御仏の罰を受けろ!」
比叡山は阿鼻叫喚に包まれる。
本来いないはずの女性が門徒に乱暴されそうになっている。
「やめろ!女房と娘に手を出すな!」
女の目の前で取り押さえられてる僧侶が叫ぶ。
「なんで坊主が家庭を持っているんだよ!
これも仏罰だ!御仏に逆らって家庭を持った罰だ!
精々後悔するんだな!」
「やめろ!やめてくれ!女房や娘に罪はない、頼む!」
僧侶は泣きながら懇願するも女性は衣類を剥ぎ取られていく!
「今まで散々搾取しやがって何が仏罰だ!何も出来ねえじゃねえか!」
最後の一線を越える前に・・・
「止めろ、不愉快だ。それ以上やるなら帝の名の下お前にも罰を下さねばならん。」
俺は比叡山を堂々と登り、惨劇の収拾に入っていた。
「土御門さま・・・」
門徒達も今更、帝の勅書を持つ俺達と戦う気がある者は少ない。
「皆に告ぐ!これ以上の乱暴狼藉は俺が許さん!武器を捨てすみやかに山を降りよ。
従うものは麓に炊き出しを用意してある、まずは飯を食べてこい。
ただし山に残るなら逆賊として討ち滅ぼす。」
俺の宣言に門徒達の多くは山を降りる。
その際、既に持っている金品については目溢しをしていた。
「さて、あとは坊主達だな。」
俺は本堂に向かい、登って行くのだった。
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