第139話 比叡山攻めの準備?

二条晴良と会ってから、幾日が過ぎた。


晴良が勅を取り付け、再びやって来る。

「修理大夫殿、帝からの勅書である。

謹んで賜るように。」

「はっ!拝命いたします。」

俺は形式的儀礼で受取る。


「修理大夫殿、これで良いのだな?」

「はい、これで心置きなく陛下にお会い出来ます。」

俺は勅書を賜り、謁見する事にする。


勅書には有事の際、比叡山への命令書と共に、従わなかった場合の討伐命令を用意していた。


勅書を出させた事に反発する公卿もいたが、有力な所には事前に贈り物をしており、大きな反発を抑えていた。

そして、公卿としても土御門という公家由来の家が力を持つことを望んでいたので、両者の希望が合致した形となっていた。


「よくぞ、再び上洛して参った、遠路はるばるご苦労じゃ。」

「はい、尊厳を拝する事、光栄にございます。」

「して、先の勅書を如何にする気じゃ?」

「帝の威光を示すために使いたいと思います。」

「ふむ、それはどう言う事じゃ?」

「はっ、王城鎮護の寺であるにも関わらず、恐れ多くも朝廷の命令を聞かぬとお聞きしました。

その増長を叩くべく、しかる時に用いたいと思っております。」

「おお!そなたは余の事を思って・・・」

「はい、土御門の家は元より朝廷にお仕えする家にございますれば、帝の御為に朝廷の威光を知らしめたいと思います。」

御簾の向こうからすすり泣く声が聞こえる。


「そなたの忠節、余は忘れる事はない。

そなたは朝廷の剣で有り、盾である。

皆、修理大夫を助け、この国に安寧を取り戻す事に尽力致せ。」

「「ははっ!」」

帝は感動のあまりに出した言葉は重かった。

権謀術数が飛び交う朝廷で、天皇が発した言葉に直接反する事は出来ない。

永久にとは無理だろうが、一先ずの暗躍を妨げる布石になるのだった。


その頃、摂津では信長が苦戦を強いられていた。

三好は足利義助を将軍とし旗頭としていた為に、摂津近郊の国人達が三好方に付いていた。

その上、本願寺が対織田の動きを強め、余談を許さない状況になる。

「佐久間!お主は本願寺を抑えよ、勝家は三好との先陣を任せる。

秀吉は国人を調略せよ。」

信長は配下を当たらせ対処に当たっていたが・・・


本陣に伝令が駆け込んてくる。

「信長様!比叡山が動き出しました、現在森様が対応しておりますが至急救援を!」

「ヒロユキに使者を出せ、あいつなら既に準備を終えているだろう。」

「はっ!直ちに!」

慌ただしく出て行く伝令を見ながら信長は京にいるヒロユキに託すのだった。

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