第126話 降伏

俺が京から帰ると真田幸隆が来ていた。

「幸隆殿どうなされた?」

「ヒロユキ殿、どうか仕官を認めて貰えぬか?」

「敗戦の話は聞いているが、武田に戻らなくて良いのか?」

「武田に戻ってどうなるのでしょう?信濃が領地の私はろくな扱いを受けません。

それなら、ヒロユキ殿の元なら再興することも夢ではないでしょう。」

「うちは所領を認めてませんよ、基本は禄になりますがそれでもよろしければ。」

「構いません、それに基本ということは例外もあるとの事でしょう?」

幸隆はニヤリと笑う。


「・・・そうだね、理由があれば所領も認めるよ。それこそ大手柄がある者なら小さな領地を持つことを認めても良いと思う。」

「ならば、ゆくゆくは真田の庄をいただきたい。

某の隠居の地としたいものですな。」

「それだけの手柄を取るとの事か・・・幸隆殿の活躍次第と言うことにしましょう。」

「はっ!ヒロユキ様、以後宜しくお願い致します。」

真田幸隆が傘下に入った。

そして、暫くして馬場信春も訪ねてくる。

「信春殿、どうなされた?」

「今回は南信濃を代表して参りました。

どうか、我等を傘下に加えてください。」


「信春殿もか、武田で何が起きている?」

「信廉が専横しており、既に・・・」

「そこまで酷いのか?信玄公の残した資金はどうなっている?」

「信廉の傘下で分けあったようです。

そのせいで軍備が遅れ、上杉に遅れを取ってしまいました。」

信春は悔しそうに言う。


「わかった、傘下に迎えいれよう。」

「ありがとうございます。

ただ、一つだけ条件をつけさせて貰えないでしょうか?」

「なんだ?言ってみろ?」

「大名として残してくれとは申しません。

信永様の元で、武田家の存続を願いたいのです。」

「信永は俺の義兄弟だ、頼まれなくても存続するぞ。」

「それならば、言うことはありません。」


「信春殿の忠義見事です。

願わくば俺の元で活躍してください。

頼りにしますよ。」

「お任せあれ、我等の武勇天下に知らしめましょう。」

こうして南信濃を手にする事が出来たが、武田との決着をつける必要も出るのであった。

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