第116話 六角攻め
箕作城を攻めるのは木下秀吉、丹羽長秀
和田山城に向かうは稲葉良通
観音寺に向かうは本隊、先陣を柴田勝家がつとめる。
布陣をみたときに少し不安に思う、秀吉陣営だが以前織田と武田の戦いの最中、服部正成が蜂須賀小六を討ち取った事で戦力が低下している、その上、史実より数年早い為か、竹中半兵衛の姿もなかった。
これにより攻撃力に劣っているとみられ、速攻が必要な箕作城攻略に不安がよぎる。
「正成、木下殿はどう攻めると?」
「はっ、夜襲をかけるようにございます。」
「そうか、よし、我等は木下殿の後ろにつこう、落とせぬようなら手を貸すぞ。」
俺は信長に使者を出し、箕作城攻略を観戦すると伝えた。
信長も箕作城攻略が肝ということを理解しており、いざという時の備えはありがたかった。
秀吉と丹羽長秀は夜襲を開始する。
五千の兵を用いて攻めかかるが今一つ攻撃力が足りない、秀吉も長秀も前線で戦う者が不足しているのだ。
「善住坊、城に撃ちかけよ、織田軍を援護するのだ。」
砦から弓で応戦している者を狙って撃ち続ける。
「土御門様の援護があるぞ、皆、織田の意地を見せるのだ!」
秀吉と長秀の激に答え、兵士が奮い立ち、その日のうちに箕作城は陥落した。
「土御門様、御助力かたじけない。」
長秀は戦後秀吉に掃討戦を任せて俺に御礼に来ていた。
「お気になさらず、我等は退屈過ぎて射撃練習をしたに過ぎません。」
俺は早く落としたかっただけで手柄は辞退することにしていた。此処は織田家の武勇を天下に示す場、俺が手を出した事が広まれ畿の制覇にも影響があるだろう。
「感謝いたす。」
長秀も此処での武勇の大切さに気付いていた。
そして、時間をかける事が許されていない事も。
秀吉と共に攻めかけても二日はかかったであろう。
「さて、それでは我等は次に向かいます。」
俺は軍を動かし次の所に向かおうとするが、当然の事だが長秀は行き先を聞いてくる。
「土御門様、何処に行かれるのですか?」
「信長殿が統治しやすいようにしますよ。」
俺は六角義賢が逃げるであろう道筋を封鎖するために軍をうごかすのであった。
その頃、六角義賢は箕作城落城の報を受けてあわてていた。
防衛の予定が崩れたのだ、そして、観音寺城では守りきれないと悟り、織田軍が来る前に逃走に入る。
信長としても一戦する前に当主が逃げると思っておらず、城からの逃走を許してしまう。
「まずは日野城に逃げ、反撃に備えるのだ。」
口では反撃というが、ただ逃げているだけの当主に皆が呆れていた。
「はい、そこまで、抵抗するなら全滅させるけどどうする?」
逃げ道には既にヒロユキが待ち構えていた。
「こんなところまで・・・」
「どうする?武士らしく此処で散るか?」
「・・・降伏致す、武士としての扱いを所望する。」
「ならば、降る者は武器を置け、戦いたい者は相手になるぞ。」
当主が降伏した後だ、皆が武器を置く。
「正成、後は任せた。義賢を連れて観音寺城まで来てくれ。俺は先に信長と合流しておく。」
俺は服部正成に任せて信長と合流した。
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