第115話 浅井長政

「浅井長政にございます。以後お見知りおきを。」

「こちらこそ、土御門ヒロユキにございます。此度は共に京を目指しましょう。」

俺は爽やかな青年、浅井長政と挨拶をしていた。

あまりのイケメンぶりに少し恐縮してしまう。


「ヒロユキ殿は六角を如何に攻略しますか?

観音寺城は難攻不落の城にございますぞ。」

長政は此度の上洛にさして、六角が敵に回ったことに驚きと恐怖を感じていた。


「長政殿は六角について詳しいのでしたね、ですが前年六角義賢が後藤賢豊を殺害したお陰で家中が揺れています。

調略で落としてもいいし、

山城を落とすのは得意ですから、籠城するならいくらでも手はあります。」


「ヒロユキ殿はそれ程に城攻めが得意なのですか?」

「ええ、今まで色々落としましたから、ただ、この戦のメインは信長殿ですからね。

どう攻めるかは信長殿の手並みを拝見致しましょう。」

俺が呑気にしている姿に長政は驚く。

「ヒロユキ殿は六角をそれ程までに簡単にいくと?」

「まあ、油断は駄目だけど、今回は付け入る隙が多いからね、俺だけでも落とせるよ。」


「待て待て、ヒロユキ殿が一人で落としたらワシが困るではないか。」

信長もやってきた。

「これは信長殿。」

長政は挨拶をする。

どうも、長政は信長を尊敬しているようで、信長を見る目が輝いている。

「長政殿、此度の援軍かたじけない。勇猛で鳴らした浅井の力、期待しておりますぞ。」

「おお、これは武名に恥じぬよう頑張らねばなりませぬな。」

長政は気合いが入るが、

「最初からあまり気合いを入れすぎぬようにな、何せ本命は三好なのだから。」

信長がたしなめる。

「信長殿して、六角攻めは如何にしますか?」

六角領は目の前だ、俺は信長に具体的な戦略をきいてみた。


「うむ、どうやら六角は籠城するようだ、よって前線の支城、箕作城を攻略して、時を同じく支城の和田山城にも兵を送る、本隊は真っ直ぐ観音寺城を目指す。

長政殿、ヒロユキ殿は織田の力を観戦なされよ。」

「よろしいのですか?何なら支城の一つぐらい俺が落としますが?」

俺は信長に申し出た。

「お二人には三好攻めの時に力をお借りしたい、それに初戦ぐらい織田家に花を持たしてくれても良かろう。」

俺と長政は顔を見合せ、信長の言葉にうなずく。

「では、お任せ致します。」

俺と長政は各自軍に戻る。

こうして観音寺城の戦いが始まった。

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