第111話 上洛依頼

「上洛を行う?」

織田からの援軍要請を受ける。

「はい、我等は足利義昭様を旗頭に京を目指します。つきましては土御門様にも協力をあおぎたく参りました。」

使者として来ていた、丹羽長秀は頭を下げて俺に参戦を求めてくる。


「わかった、援軍をだす。信長殿に良しなに伝えてくれ。」


「ありがとうございます。土御門様が参戦してくだされば、事は成ったも同然にございます。」


丹羽長秀が帰ったあと、俺は軍議を行う。

「上洛にあたり、手勢一万に出陣を命じる。

留守はマサムネ頼むよ。」


「俺も行きたい所なんだが。」


「少し時間がかかるかも知れないから、マサムネには領地を守って欲しいんだ。」


「仕方ないか、景久、ちゃんとヒロユキの護衛をはたせよ。」


「お任せあれ、如何なる時も我等近衛隊がヒロユキ様の身を守ってみせます。」

前原景久はマサムネの言葉に答える。


「ヒロユキ様、どうか私も参戦さしてくださいませ。

亡き父にヒロユキ様の天下を見るように言われております。

どうか!」

長野業盛は頭を下げて、頼み込んでくる。

業盛の父、業正は先日亡くなった、大往生であった。

「わかった、業盛、ついて来てくれるか、遠江は井伊直虎さんにお願い出来るかな?」

「かしこまりました。」

井伊直虎は快く引き受けてくれる。


「三河は守綱に任せるよ、万が一に備えて援軍を出せるようにしておいて、あと、俺の家族もお願いする。」

「お任せあれ、ヒロユキ様の御家族、必ずや我等が御守り致す。」

「正成は上洛に参戦してもらえるかな?

諜報をお願いしたいんだ。」

「はっ!お任せを。」

服部正成は嬉しそうに引き受けるが、周りの三河衆に羨ましそうにみられている。


「信長殿が京を統治すれば、上洛の機会も増える、今回行けない者も、行く機会はあるから、妬まないように頼むよ。」


「はっ!失礼しました。」

多少妬みの気持ちがあった者は頭を下げる。


「嘉隆、長安、今回の上洛で堺まで押さえようと考えている。

そして、長安に堺まで物資を届けて貰おうと思う、嘉隆には長安のキャラック船をガレオン船で護衛しながら堺に来て貰う。何時でも出れるようにしておいてくれ。

長安は物資の輸送を頼むよ。」


「任せろ、何時でも出れるさ。」

九鬼嘉隆は力強く答える。


「お任せを、キャラック船を御用意して御待ちしております。」

大蔵長安も嬉しそうに答えた。


「みんな、上洛を行う!

何があるかわからないのが、戦国の世だ、油断ないように!」


「はっ!」

こうして俺は領内の守りを配置し、手勢一万に加え、長野業盛率いる二千を加えた、一万二千の兵を率いて信長が待つ岐阜城に向かった。

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