第110話 時は過ぎて
翌年、夏。平和な日々が続いていた。
俺達は国内の整備に明け暮れ、軍を動かす事も出来なかったが、大きな戦が無かった事も大きい。
近隣では
武田が上杉と戦を続けているようだ、
何とか北信濃でしのいでいるようだが、国内の結束が緩んでいる今の武田家では上杉を押し返し海津城を取り返すのは夢物語であろう。
そして、織田は美濃を制圧した。
俺と市の祝言がおえてから、全力で美濃を取りにいったようだ。
現在岐阜と名を改め、国内の安定につとめている。
北条とは相変わらずだ。
俺の方から使者を立ててはみたものの、敵対するのか、しないのか、いまだにハッキリしない。
警戒はしているが、俺としては国内が安定するまでは手を出すつもりもないので今の状況で様子見としている。
そして、世間では一大事がおこっていた。
将軍、足利義輝が殺されたのだ。
俺は歴史を知っていたから落ち着いていたが、家臣たちは驚いていた。
ただ、足利義昭が朝倉に行かず、織田に直接逃げたという・・・
これも美濃制圧が早いせいか?
史実と違う動きに戦略を考える必要もある。
この一年内政に集中していたお陰で、俺の軍はいつでも動ける状態であった。
そして、開墾面積は圧倒的に増え、次の収穫をむかえれば、備蓄も充分になる。
街道、治水、港湾設備をローマンコンクリートを使用して建築を行い完成していた。
そして、それは渥美半島先端を任した九鬼嘉隆の拠点もローマンコンクリート作りの港、造船所を作り水軍を強化していた。
また、吉田の造船所では、俺とリクが知識を出し合い、南蛮船の戦船のガレオン船、交易船のキャラック船を完成させていた。
まだ数は少ないが、ガレオン船は嘉隆に預けて、運用を開始し、訓練をしている。
キャラック船は大蔵長安の元で交易に使用されていた。
北は北海道から南は沖縄まで交易が開始された。
各地の珍しい物が堺以外の吉田に集まる事に商人達も集まって来ており、吉田の発展はめざましいものがあった。
そして、鍛冶師と相談しながら鉄砲、大砲の生産にも成功した。
大砲は一門、試作型が出来たばかりではあるが
鉄砲は購入している分も合わせて現在五百丁が配備されている。
その中で思わぬ人物が見つかった。
杉谷 善住坊だ、史実では信長を鉄砲で暗殺しようとした男だが、信濃で人を募集した中に猟師としていたのだった。
鉄砲を扱わせるとみるみる上達していき、今や鉄砲隊の隊長を任せている。
マサムネが駿河で北条に備えている今、俺の手勢は島清興の騎兵隊、杉谷善住坊の鉄砲隊、林崎重信の抜刀隊、奥山公重の槍隊、前原景久の近衛隊の総勢1万となっていた。
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