第109話 内政タイム
祝言が終わると信長は翌日には帰って行った。
美濃攻めの途中だったようだ。
「さて、今後について伝える。
リク、街道整備の責任者に任じる、ローマンコンクリートを用いた道を今川館まで通してくれ。」
「わかった。すぐに取りかかる。」
「あと、三河の開墾は一時停止とする、その人員を遠江に回して、開墾を進めていく。
三河の皆にはすまないと思うが受け入れてくれ。」
俺は頭を下げる。
「頭をおあげください、既に三河は裕福になっております、遠江、駿河にもヒロユキさまの恩恵をお与えください。」
鳥居元忠が三河衆を代表して答える。
「ありがとう、今後は三国を発展させていく、皆の協力に期待している。」
「はっ!」
そして、俺達は作付けについても話し合っていると、兵士がやってきた。
「ヒロユキ様にお会いしたいという者が来ております。」
「だれ?」
「今井 宗久と名乗っておりますが、お会いいたしますか?」
今井 宗久の名を俺は知っていた、
堺の豪商である彼が何のようだろう。
俺は会うことを決め、部屋に通すように伝えた。
「今井宗久殿、お待たせいたした。
土御門ヒロユキにございます。」
「あなたが土御門様ですか、土御門さまの武名、遠く堺にまで届いておりますぞ。」
「それは嬉しい話ですね、それで此度はどのような要件にございましょうか?」
「私共に石鹸、布団などを卸して貰えないでしょうか?」
「それはかまいません、ですが、今はあまり多くは渡せませんよ、今後、量産を目指しておりますが。」
「はい、あるだけで構わないのです。」
「そうですか、わかりました。」
俺は販売量、価格を話し合い、問題ない量を売ることに成功する。
きっと堺で売る時はかなり儲けが出るのであろう。
宗久はニコニコしながら帰っていく。
そして、俺は宗久に一つ頼みごとをしていた。
朝廷への献金四千貫と布団、石鹸の献上を行う事にした。
此度の騒動で独立した以上、名前を覚えてもらう下心つきである。
いきなり官位がもらえるとは思ってもいないが・・・
それに一応先祖は公家に繋がると聞いている以上、朝廷の苦難を見てみぬふりもしたくないという気持ちもあった。
俺の頼みを宗久は快く引き受けてくれた。
朝廷では時の天皇、正親町天皇がヒロユキの貢物に喜ぶ。
「おお、なんという献身的な者もおるのだ・・・」
ヒロユキが直接何も求めていないことに涙が出ていた。
この時朝廷に献上してくるものは代わりに何かを要求してくるものだった。
そして、土御門の姓を聞き、情勢に詳しい近習にヒロユキの話を聞く。
「不可思議な力をつかい、土御門の者か、本家は若狭におると聞いたが、となると分家か、それに連なるものが家を興したということか。
本家と違いなんと尊皇の志、厚き者よ。
よし、その志に報いねばならぬな、かの者に従五位陰陽頭に任じよう。」
「陛下、それは些か早計にございませぬか?」
「近衛よ、そなたが言うのもわかるが、ここは私のワガママを通さしてくれないか。」
「いえ、陛下が望むのなら。私も従いましょう。」
ヒロユキは名前を覚えて貰うだけのつもりであったのだが、
正親町天皇にとって公家に連なる者が武家に負けず家を興し、
その者が尊皇の志有るものということは感動出来る事であり、ヒロユキに頑張って貰いたいという気持ちから官位が贈られる事となった。
後日、官位が贈られたヒロユキは、謝礼に更なる献金を贈るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます