第104話 戦後会議
処刑が終わり、城を片付けたあと、
武田の旧臣を集め会議を行う。
地方からは代理が来ていた。。
「此度の内乱、ご苦労様です。」
俺が代表して話し合いを始める。
「まずは状況を確認しよう、北信濃はどうなっている?」
高坂昌信が北信濃を代表してきており、ヒロユキに答える。
「この内乱の為に上杉に押されてしまい、戸石城まで後退してしまいました。
現在幸隆が戸石で備えておりますが、上杉は内乱終息と共に葛尾城に守兵を残し、引き上げております。」
「やられた、流石、上杉景虎だ。まあ、仕方ない、対応は後で考えよう。
南信濃はどうだ?」
秋山虎繁が答える。
「南信濃は順調にございます。ただ、織田が美濃に侵攻しており、制圧は時間の問題かと。」
「織田信長も見事だ、俺達が動けない隙に美濃を取られてしまうか。」
この状況を見て俺は考えを言う。
「戸石を中心に真田幸隆殿に北信濃を任せる。
南信濃は秋山虎繁殿が引き続き纏めてください。
三河、遠江、駿河は俺が管理する。
甲斐は武田の当主に任せる。
誰を当主に選ぶか決めてくれ。」
全員に戸惑いがでる。
馬場信春がたずねてくる。
「ヒロユキ殿、貴方は統治をどうなさるおつもりか?
武田を当主として纏まるのか、ヒロユキ殿を当主に纏まるのかお聞かせ願いたい。」
「今回の戦は簒奪が目的ではない、
よって、代々武田の支配下である甲斐は武田家の者がおさめる。
俺は武田の支配が弱い、三河、遠江、駿河、あと富士吉田を此度の戦の報酬として貰う。
武田を当主とするか、俺を当主とするかは自分で決めろ。
どうせ言った所で裏切る奴は裏切るからな。」
武田信廉が一歩出てきて話す。
「ならば、武田の当主を我等武田一門で決めて良いと。」
「それはいいが、ちゃんと甲斐を領地にする者達とも話し合えよ。
また、お家騒動はお断りだ。」
「ならば、今、一族で話し合いますので、暫しお待ちを。
信龍、信是、信君、義昌、我等一族でまずは話し合いをおこなうぞ、別室に行くぞ。」
武田信廉は
一条信龍、松尾信是の信玄の兄弟、
穴山信君、木曽義昌、の信玄の娘を娶った婿を呼び、別室に向かう。
「よろしいのですか?」
馬場信春は信廉が集めた人間に不信感を持ったようで、俺に聞いてくる。
「かまわん、誰がなろうと武田への義理は果たした事で良いだろう。
それより、領地について話そうか。」
家臣達の話し合いの結果、
北信濃
戸石城に真田幸隆
小諸城に高坂昌信
深志城に飯富昌景
南信濃
高遠城に秋山虎繁
飯田城に馬場信春
木曽福島城に木曽義昌
甲斐
中野城に穴山信君
上原城に一条信龍
以上が各城に配置となる、
将の配置が決まった頃に信廉が戻ってきた。
俺は地図に書き示した配置を見せる。
「信廉殿、これが話し合った結果の将の配置だ、不満があるかも知れんがひとまずは受け入れてくれ。」
「・・・いえ、ひとまずはよろしいかと。
そして、武田の次の当主は盛信様にしようと思います。」
「盛信か?まだ六歳ではなかったかな?」
「はい、ですので我等一門衆が後見人となり支えていく次第にございます。」
「待て!後見人に致すなら、ヒロユキ殿ではないのか?
そもそも、信永様を当主に迎えた方が良いではないか!」
飯富昌景が信廉に怒鳴るように言う。
「昌景殿、信永様は信玄様のお子ではない、当主に据えるべきではないであろう。
それにヒロユキ殿も武田の臣と言うわけでもないからな、後見人というのも違うであろう。」
「しかし!」
昌景は声を荒げ、信廉に食って掛かるが・・・
「昌景殿、かまわない。
盛信殿が当主で信廉殿が後見人筆頭と言う事、そして、武田の今後の政策に関わるなということか?」
「そういう認識で構わない。
武田の方針は我等と重臣達で話し合って決める。
ヒロユキ殿はその方針に従えばよい。」
信廉は悪びれることなく答える。
信廉はヒロユキの力が増し、武田を乗っ取る事を危惧していた。
今はヒロユキの力が強い為に三河、遠江、駿河の領有を認めたが、落ち着いた頃には理由をつけて、削減する腹積もりであった。
「そうか、わかった。
ならば、我等はこれで失礼する。
武田の臣で無いものがこれ以上口を挟む訳にもいくまい。
信廉殿、以後俺の領地に手を出すなら戦になると思われよ。
俺達は武田の臣下じゃないのだからな。
さあ、マサムネ引き上げるぞ。」
「ま、待て!なぜそうなる、
我等は話し合って当主を決めたでないか?」
信廉は慌てて引き留めようとする、
「武田の臣でないと言ったのは後見人たる信廉殿ではないか。
以後、我等は独立勢力として行動致す。」
俺は自身の家臣を連れてさっさと引き上げた。
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