第79話 守りを固めよう!
信豊の話で出陣の時期がわかったので、俺は準備に移る。
「リクさん、ローマンコンクリートの量産はどうなってる?」
「無尽蔵に使える程はないけど、多少は使えるよ。随時量産できる体制は出来ている。」
「よし、なら使ってしまおう。
浜名湖に面した新居の地に城というか壁を築く、
それと、三ケ日の地にもね、その二つにローマンコンクリートを使用する。
リクさんはローマンコンクリートの量産をしつつ、壁の製作の指導をお願い。
設計図はこれなんだけど、不備があればリクさんの判断で変えていいから。」
俺は街道を挟むようにコンクリートを使用した垂直型の高く分厚壁と上方から狙い射てるような狭間、壁の上に兵士の居住区を設けた、城か壁かわからない物の設計図を渡した。
「これは・・・街道を監視用かい?」
リクは設計図を見るなり意図に気付く。
「今後は関所代わりに使えるかなと、まあ、攻められても落ちない用に作って貰いたいかな?」
「不謹慎かも知れないが面白そうだ、喜んで作らせて貰うよ。」
「任せたよ、義信の度肝を抜いてもらえるかな?」
「任された!」
リクはいい笑顔で引き受けてくれる。
「ミユキさん、ペニシリンは出来た?」
「うん、何とか出来てると思う、もう少し臨床実験したい所だけど。」
「なるほど、一応量産準備も初めてもらえるかな?予算は・・・なんとかするから。」
最近資金を使い過ぎて予算がなくなりつつあった。
「お兄ちゃん!予算は何とかなる・・・かも?」
ユメが資金について考えがあるようで発言してきた。
「ユメちゃん何か手があるの?」
「・・・実はね、ちょっと来てもらえるかな?」
俺はユメについて奥の部屋に行く、
その部屋には沢山の箱が置かれていた。
「ユメちゃんこれは?」
「・・・え、えっーと、寄付金らしいよ。」
「寄付金?」
「役巫女宛に届いたみたいなの、戸隠の里から横谷さんが持ってきてくれたの。」
「それって使っていいのかな?」
「うん、いいんじゃないかな?私宛みたいだし、私はお兄ちゃんに使って欲しいの。」
「・・・じゃあ、少し借りるよ。でも、ちょっとした神社を建てようか。」
「うん、お兄ちゃんは私が養ってあげるね。」
「そ、それは・・・」
箱の中にはかなりの金が入っており、当座資金繰りに困る事はなくなった。
ただ、俺はヒモの気持ちを味わったが・・・
ユメから受け取った金で開発を進める。
そして、城内の一角に簡素だが神社も建立した。
その神社の責任者にユメを任命する。
「ユメちゃん、本当に巫女になったね。」
「うー巫女にしたのお兄ちゃんじゃない。」
「巫女服姿も可愛いよ。」
「かわいい?ねえ、お兄ちゃんもう一回言ってよ。」
「いいよ、ユメちゃん可愛いよ。」
ユメはデレッとした顔を見せていた。
この神社は城の一角にあるが、普段は住人の出入りも出来る用にしていた。
勿論、奥の城内には入れないように警備は厳重だが、住人が城に愛着を持ってくれればと思い設定したのだが・・・
落成式
神社の周りには修験者が・・・
「なにこれ?何でこんなに修験者が集まっているの?」
「当然であろう、ここは役巫女の神社であろう。
その落成式に修験者なら来たいものだ。」
「種清さん!」
其処には戸隠の里の長、出浦種清が来ていた。
「ワシもつい来てしまったわ。」
「いえいえ、何時もお世話になっております。いつでも来ていただいて構わないのです。
さあ、奥でユメちゃんが祈りを捧げるので種清さんも奥にどうぞ。」
「お邪魔させて貰うよ。」
奥の部屋に入れるのは一部の人達なのだが、知らない立派な身なりの人が多い。
「種清さん、あの人達知ってますか?」
「あの人達は、各地の修験道の神社、霊山の長だな、役小角様に連なる者はほぼ全員来ているみたいだ。」
「何でまたそんな偉いさん達が・・・」
「それだけの価値があるのだよ。」
「お兄ちゃん・・・」
護摩壇の前でユメが泣きそうな顔でこっちを見ている。
そりゃ偉いさんの前で、やったことのない御祈りを捧げるのはプレッシャーだろう。
俺はユメの横に行く。
「ユメちゃんは祈ってて、俺がそれっぽく、呪文を唱えるからさ。」
ただ火を焚いて祈るだけの予定だったが、折角来てくれた人達の為に、それっぽく見せようと実家に伝わる呪文を唱える。
「天元行躰神変神通力、我願い奉る、かの地を清め、加護あらんことを!」
ユメのネックレスが光る。
「えっ?なに?」
俺もユメも驚く。
部屋中に光が満ち、目も開けれないぐらいになる。
光がおさまった時に目の前には一匹、いや一人の鬼がいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます