第78話 尾張攻めの情報
尾張の織田攻めの情報は服部正成からもたらされた。
「なるほど、織田から行くのか、しかし、同盟の話が進んでいたような気がしたのだが?」
「信玄公は気にもしていないのでしょう。」
「まあ、乱世だから仕方ない所もあるけど。
それで俺達は出陣しなくていいんだよね。」
「ええ、情報ですと、義信が総大将で攻め込むようですのでら今、我等と共同で軍事行動等出来ないでしょう。」
「まあ、お手並み拝見と行きますか、それより、領内を通る兵士の監視を強化しておいてもらえる。
住人に手を出すようなら、誰の部下でも関係なく捕縛、出来ないようなら始末しておいて。」
「かしこまりました。」
正成は伊賀者に警戒網を引かせる。
そして、ヒロユキも各兵士に警備強化の連絡を回す。
これにより、義信の軍勢が三河で略奪を行う事が難しくなる。
正成の報告から遅れること一週間、信繁から信豊が使者としてやってきた。
「信豊、元気かい?」
「ヒロユキこそ、大変な事になってると言うのに元気そうだな。」
「大変な事?ああ、義信の奴が俺を狙ってるって話か?」
「おいおい、滅多な事を言うなよ、お前が謀叛者の筆頭扱いになるぞ。」
「既になってるだろ?義信からしたら俺は不倶戴天の敵らしいからな。」
「はぁ、武田はどうなるのやら・・・」
「そんなことより、使者の内容は?」
「おっと、そうだったヒロユキ、収穫後尾張の織田に侵攻する。
総大将は義信様で甲斐、駿河、遠江の兵士で総勢二万八千の予定だ。
関係者は軍の用意を行う事。
だけど・・・」
俺は信豊の言葉を遮り、
「俺は行かなくていいんだろ?」
「・・・その様子だと既に知ってたのか?」
「もちろん、情報が命綱だからな。」
「流石だな、まあ、父上も知ってるだろうと言ってはいたが、連絡をしないのも違うとの事で俺が来たのだが。」
「お疲れ~、しかし、秋か・・・少し時間があるな。」
季節はまだ夏前、収穫の秋までは時間があった。
「何をする気だ?」
「なに出迎えの準備だ、
それより信豊は義信の軍に参加しないようにしとけよ。」
「まあ、父上と一緒に信濃に行くつもりだが、何かあるのか?」
「俺は何もしないけど・・・織田は手強いからね、万が一もあり得るから。」
「ヒロユキが警戒するほどか・・・義信様は無事にこなせるかな?」
信豊は不安になる。
ヒロユキが警戒する相手を戦の経験の少ない義信が倒せるのか・・・
一方、躑躅が崎館では・・・
「父上の命で憎き織田を討つ!
良いか、我等が義元公の仇を討つのだ!」
義信は信玄の命を受け、喜んで軍を準備する。
義信の正妻は今川義元の娘であり二人の関係は良好だった。
その為、義信は妻の期待に応える為にも織田を討ち滅ぼそうと意気揚々だったが、
他の者からすれば武田が今川を滅ぼしておいて、今さら何を言うと冷めた目で義信を見ていた。
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