第63話 上杉の脅威

「上杉が来ただと、しまった!」

俺は何処かで上杉謙信は侵略しないと考えていたようだ。


現在、武田の主力は今川館に来ている。

すぐに信濃の救援向かう必要があるが、俺が動かせる軍は・・・

三河は織田対策に動かせない、遠江も支配したばかりだ、動かす訳にはいかないだろう・・・


俺はマサムネと協議する。


「マサムネ、遠江を押さえるのに兵は何人いる?」

俺は手勢を何人連れて行けるか考えていた。

「ヒロユキ、俺は井伊を使う、手勢は全部連れていけ。」

「大丈夫か?」


「何とかする、それより、本当に行くのか?今回は厳しすぎだ、俺としては北信濃をくれてやってもいいんじゃないかと思うが?」


「確かに得た領地を考えるとそれも1つだけど、北信濃が狙われた理由は多分上野の道を潰したからだ。

戦後責任を問われ兼ねない。

それに武田が弱いと思われると今後の戦略にも悪影響がある、勝てないまでも領土をとられる訳にはいかない。」


「わかった、これ以上は止めはしないが死ぬなよ。」

「お前もな。」

俺とマサムネはお互いに拳を合わせる。


二人で話がまとまった後、家臣を集めて状況を説明したあと指示を与える。


「信玄公に使者を出してくれ。あと業盛、綱秀は将として帯同、相手は上杉だ、油断するなよ。」

俺は二人を指揮官に任命する。


「重信、公重、お前達はヒロユキの護衛につけ、たとえ負けても必ず生きて帰ってこい。」

マサムネは剣豪二人に俺の護衛を命じる。


「遠江は任せたぞ、マサムネ。」

「おう、それより本当に気を付けろ、兵も少なければ、将も足りないんだ。無理だけはするなよ。」

「わかってる、ゲリラ戦で時間稼ぎと引き分け狙いで行くさ。」

俺は手勢二千と共に北信濃を目指す。


そして、信玄の元には信繁からの伝令が先に来ていた。

使者は信繁が集めれるだけの兵を集めて防衛に向かったと、そして、北条に援軍を頼むように伝えてきていた。

「上杉が来ただと!くっ、抜かったわ!

わかった、北条にはすぐに使者を出す。信繁には何としても持ちこたえよと伝えよ。」

信玄は伝令に伝える。


続けてヒロユキからの伝令もやってきた。

「さすがはヒロユキ、既に動いたか、しかし、ヒロユキでも些か厳しかろう、どうするつもりだ?」

「自分にはわかりません。」

聞かれた伝令も答えに困る。

「そうであろうな、すまん。だがヒロユキの事だ何とかするのであろう。ワシはさっさと今川を降して戻らねばな。」

信玄は今川館の攻撃を命じる。


今川は武田の攻撃をただ耐え凌ぐだけであった。

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