第62話 遠江統治
「マサムネ、昨日は何処で寝てたんだ?」
俺はジト目でマサムネを見る。
「昨日はナオちゃんとね。」
「ナオちゃん?」
「直虎だから、ナオちゃん。」
「待て待て、まさか・・・食べたのか?」
「うん、いやぁ可愛かったよ。」
俺はタメ息まじりに、
「お前何してるの!可愛かったじゃないよ、どうするのさ、彼女井伊の代表だよ!」
「大丈夫、俺の子供が井伊谷を継ぐから。あっ、信玄に伝えておいてもらえる?」
「はぁ、伝えるのはいいけど井伊から苦情が来るのでは?」
「それはないかな?アイツらとは今朝わかりあったし。」
「今朝?わかりあった?」
「うん、起きたら周りを囲まれてね。ちょっとボディランゲージで会話したら、当主様と呼んでくれたよ。」
どうやらマサムネは力付くで納得させたようだった。
「あーわかった。信玄には手紙を出しておくよ。
まあ、戦略的にも井伊を取り込むのは悪くないけど、順序があるからな。」
「ふっ、男と女の関係に順序なんて野暮な物はない!」
「あるから!」
「其処は親友が何とかしてくれると信じているよ。」
マサムネの満面の笑顔に毒気が抜かれる。
「まあ、いいか。仲良くしろよ。
さて、となると信玄に井伊谷は貰いたい所だな。
マサムネ、遠江を支配に乗り出すぞ。少々気合いを入れろよ。」
「おう、戦場は任しておけ。」
「井伊の人達にも、調略を頼んでくれ、知り合いとか味方してくれる人が多ければ助かる。」
「了解。」
俺の心配とは裏腹に井伊の調略にほとんどの城が答える。
どうやら今川の遠江の支配力は思ったより強くないようだ。それに駿河に集めていた軍勢が武田本隊に敗れて今川館に籠城を始めたという情報も大きいのだろう。
俺は降った城からの使者を仮の居城とした引馬城にて歓待していた。
不満そうな者も中にはいたが、多くが好意的であった。
俺は不思議に思い、好意的だった犬居城主天野景貫に聞いてみる。
「俺達は侵略者だが、どうして好意的な者が多いのだ?」
「そうですな、今川の支配に嫌気がさしていたのというのもありますな、奴等は遠江から搾取ばかりしておりましたから。
そして、、東三河の発展を知るからでしょうな、この半年で東三河は信じられないぐらいに発展しておりますから、出来れば我等も恩恵に預かりたいと思った次第にございます。」
「俺が統治する訳じゃないから其処までの発展は約束出来ないが?」
「何、協力的にしておれば優先順位が上がるでしょう。それを狙う者が多いのですよ。」
景貫は笑いながらもしたたかに好感度を狙ってきていた。
どうやら正直に話した方が俺の興味をひけると考えたらしい。
・・・まあ、その通りなのだが。
「わかった、はっきりと約束は出来ないが出来る事は致そう。」
「よろしくお願いいたします。」
景貫は深く頭を下げた。
こうして遠江は武田の勢力となり、あと少しというところで急報が届く。
上杉、南下!
目標は信濃!
手薄となっている武田領に侵攻してきたのだった。
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