第60話 今川の謀略
「なに?義信とヒロユキが揉めていると?」
飯富虎昌から緊急の使者が信玄の元にやってくる。
「はっ!」
「詳しく申せ!」
信玄は慌てて使者に確認をする。
「あの馬鹿息子が!」
話を聞き、信玄は激怒する。
自らの意志で織田との同盟に反対するならいざ知らず、それに家臣を巻き込むとは!
しかも、今川の言に踊らされてとの事ならば、なお許せる事ではなかった。
「兄上落ち着きを。」
信繁が信玄を一旦落ち着かせる。
「信繁、すまんな。お前の大事な家臣を巻き込んでしまったようだ。」
「いえ、ただこうなった以上、ヒロユキがどう行動をとるか・・・ただで討ち取られるような男ではありませんよ。」
「折角隣の領地で交流が出来るようにしてやったのに・・・」
「義信を三河から離しますか?」
「うむ、それも一つか・・・今川の手が伸びておるようだしな。
ついでに岡崎はお前にやろう。
ヒロユキに任せるといい。」
信玄は岡崎から義信を離し、ヒロユキに任せる事にする。
そして、義信は躑躅が崎館に戻される事となる。それに伴い、飯富虎昌、三枝昌貞も各自の領地に戻る。
「今川め、良くも我が家中に混乱を招いてくれたな、この恨みは忘れぬぞ。」
信玄は義信とヒロユキの間を割る切っ掛けとなった今川に怒りを向ける。
「兄上、事の顛末を北条にも伝えておきましょう。
今回の一件は同盟破棄の口実の一つとなるでしょう。」
「うむ、そうだな。北条が敵にならんように配慮すべきか・・・」
信玄は使者を出し、今川の謀略のせいで家中にヒビを入れられた事を告げる。
そして、同盟破棄の可能性も伝えた。
「今川が義信殿を操っておるなどど・・・」
北条氏康は簡単には信じられなかったが、もし本当なら、信玄の怒りもわかる所だ。
「小太郎、調べてくるのだ。」
氏康は風魔忍者当主、風魔小太郎を呼び、調査を命じる。
調査の結果、義信の身の周りの者の半数が今川の息のかかった者と判明する。
奥方がコツコツと小者達を入れ換えている事がわかり、義信の周りは今川を助けるのが当たり前のような空気になっているとの事だった。
「なんと、そのような真似をしていたのか!」
氏康は報告を聞き驚く。
確かに御家の為に色々調べたりするのは当然だが、それでもやりすぎだと感じていた。
「信玄殿に使者を、もし今川と何かあっても北条は介入しないと。
今川の行動は同盟者として許せるものではない。」
氏康は先日、信玄に助けられた事もあり、武田の肩を持つこととなる。
氏康の使者が来た、その日、信玄は今川侵攻を決断した。
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