第45話 上野の状況

祝宴も終わり陣に帰った所で信玄に聞かれる。

「実際、上杉の対応はどうしておるのだ?」

「信玄公も聞いてきますか?」

「それは気になるであろう。上野を渡すのはまだ時間がかかるぞ。」

「既に越後との通路である三国峠を潰してま

す。復旧させるのには時間がかかるでしょう。」

俺はユメちゃんから出浦さん経由で修験者にお願いして、三国峠を潰してもらっていた。


「道を塞いだのか!」


「はい、すぐには来れない筈です。その間に私達は撤退して北条さんに任せてしまいましょう。」


「見事な策だ。

・・・しかし、もしだ、もしもだぞ、お前が指揮を取って上杉とやりあえばどうなる?勝てるか?」


「わかりません、上杉の戦を知りませんからね。ただ、今はやり合うべきでは無いと思っています。

ほら、孫子にもあるでしょ、勝てる相手に勝つってやつですよ。」


「くくく、ワシに孫子を説くか。

ならば勝てるようになるということか?」


「はい、国を豊かにし、兵を増やし鍛えればどんな相手にも勝てます。

大事なのはその時を待つことです。」


「うむ、その為にも、しかと働いてもらうぞ。」

「えーそろそろ休暇が欲しいですよ。」

「うるさい、信繁に伝えて働かせてやるからな。」


それから一週間後、俺は上野に戻る。

信玄も1度上野に寄る予定だが、俺は先に戻り状況を確認する。

「ただいまマサムネ、この辺はどう?」

「おう、沼田以外は落としたぞ、あと、大体の国人が残って北条に仕える事を了承した。まあ、次男や三男を送り込んではきてるけどな。」

「まあ、そんな所だろう。」

多くの家は俺が提示した俸禄で雇われる事をよしとせず、多少減らされても地元に残る選択をしていた。

ただ、武田と縁が切れる事をもしたくないのだろう、家を分け仕える者もいた。

俺はそんな者をある程度の俸禄で雇う事にした。


そして、移住民も募集していた。

甲斐、信濃、三河の人口はあまり多くないため、移住による生産力の向上をはかる、信玄からは奴隷にしないのかを聞かれたが、折角上がった名声を捨てるのかと聞いたら、認めてくれた。

その上で支度金も払い、参加者を集う、俺が戦場で得た名声、神の使いが思ったより効果があり、多くの者が集まってくれていた。


移住民は北条がくる前に移動させる。

「集まってくれて感謝する、これより武田領に向かい移動するが、道中しんどくなったら気兼ねなく兵に伝えてくれ、全員分は無理だったが荷馬車もある程度用意してある。交互に乗って利用してくれ。」

移動用にリヤカーを作成したうえ、猪を使い簡易馬車を作成した。

多少でも移動が楽になればいいのだが・・・


いろいろ手配をしていると信玄が北条軍を連れてやってくる。



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