第12話 開発状況

飯田に来て2ヶ月がすぎた、

ミユキが行っていた清酒は灰の種類タイミングをはかりながら実験を繰り返した所、ノウハウが確率されつつあった。

お陰でいくらかの酒が完成した。


それを信繁、秋山に送った。

信繁には多めに送り、信玄に献上してもらう。そして、新たな産業として認めてもらう為だ。


そして、椎茸も上手くいってる様だった。

任せていた盛清は半信半疑で行っていた様だが、芽が出るのを見たら信じざる得なかったのだろう、今は率先して栽培を指示している。


そして、マサムネは何故か山賊を子分にしている、討伐をせず、単身乗り込み、腕っぷしで打ちのめし、従わせているようだ。

この辺は体育会系のノリなのだろうか?

俺には理屈が全くわからないが、手勢が出来た事を喜ぶべきか。


俺が行っている開墾も順調であった。

最初、乗り気じゃなかった村人も鍛冶士や大工に説得され渋々していたが、

ツルハシを使う事で従来と違い、楽に開墾出来る事に次第に従順に従ってくれるようになった。

そして、イノシシを使った、開墾も順調であった。

人の力と違いパワフルに動くイノシシに驚いていた。

この驚きには動物が言うことを聞いてる事も含まれていた。


俺は報告を纏めていて、

「さて、一応順調かな?」

ユメが資料を見ていた俺の背中に乗ってくる。

「お兄ちゃん、上手くいってるの?」

「ああ、今の所順調だな、あとは酒を売って金に変えて、軍資金を手に入れないとな。」

「売れるかな?」

「たぶん、大丈夫だろう?信玄が買ってくれなくても高遠の武士か、それでもダメなら商人に売るさ。」


兵士の一人が走ってくる。

「城代!信繁様から使者が参っております。」

「うん?なんだろ、通してもらえる?」

「お兄ちゃん大丈夫かな?」

ユメは不安そうな顔を見せたが、

「大丈夫だよ、いざとなれば逃げればいいだけだからね。」

俺は安心させるように頭を撫でた。



「ヒロユキ殿、信繁様の命である、戦の準備をして躑躅ヶ崎館に来るように。」

「戦ですか?何処へ?」

「今川家の救援を行う、総大将は義信様だが、補佐として信繁様が同行なされる。」

「わかりました。すぐに準備を行いたいと思います。」

俺は頭を下げ、使者をもてなすように伝えてから、みんなと話し合う。


「みんな、俺は戦に行くことになった。それでマサムネ一緒に行ってくれるか?」

「おうよ!」

「わたしも!」

ミユキも着いて来ようとするが、

「ダメだよ。女の子は連れて行けないんだ、だから、ユメちゃんもお留守番だ。盛清さん、ユメちゃんとミユキさんを頼めますか?」

「任してくだされ、青海か伊佐どちらかを連れて行きますか?」

「いえ、二人も残ってください。いざという時は盛清さんの判断に任せます。」

「心得た。」

「ミユキさん、酒と椎茸の管理をお願い、戦があっても資金集めを止める訳には行かないからね。忙しくなるけど、お願いできる?」

「・・・わかった、でも、ちゃんと帰ってきてね。」

「わかってる。」

「そうだぞ、ミユキさん。俺が着いて行くんだからな、ちゃんと帰って来るさ。」

「マサムネくん、ヒロユキくんをお願いします。」

ミユキは不安そうな顔をしながらもマサムネに頼む。

「ミユキさん、大丈夫だって、無理はしないし、信繁さんの配下だから前線には行かないだろう。」


俺は楽観視をしていた・・・

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