第10話 行動開始

酒宴から二日後、

「みんな昨日はごめん、今日から頑張ろう。」

みんなに謝り、朝から会議を行う。

参加者はマサムネ、ミユキ、ユメ、盛清だった。


最初にミユキが聞いてきた。

「ヒロユキくん、もう大丈夫なの?」

「ああ、大丈夫。」

「もう、お酒なんて飲むから・・・」

「ごめんって、でも、飲まない訳にもいかなかったからね。

じゃあ、話を始めようか。」


「ヒロユキ、俺達よりお前の考えをまず聴かしてくれ。」

マサムネが俺の意見を求める。


「それじゃ、俺から言うけど何か付け足しや、やりたい事があれば言ってくれ。」

「おう。」


「まず、この地を豊かにするために産業を作ろうと思う。」


「産業?そんなに簡単にいくか?」


「まあ、物語の定番だけど椎茸栽培と清酒が簡単でいいと思う。」


「ヒロユキ殿!椎茸栽培など出来るのですか!」

盛清が反応した。


「たぶん出来るよ、盛清さんは町で椎茸を採ってる人を集めてもらえるかな?」

「わかりました。成功したら里に伝えても宜しいですか?」

「戸隠の里には世話になったからね、伝えてもいいけどなるべく北の方で売って欲しいかな。」

「わかりました。」


「次に清酒だけど・・・」


そういうとミユキが手をあげる。

「私知ってる、灰を入れるんだよね。」

「ミユキさん知ってるの?」

「物語で読んだだけだけどね。」


「俺も同じぐらいの知識だから、ミユキさんに任してもいいかな?」

「任して!」

「じゃあ、お願いします。」


「あと、マサムネは兵の訓練と治安維持をお願いするよ、領内の野党どもを壊滅させて。」

「了解。」


「俺は農機具の開発と開墾の準備をする。

みんな、最初は大変だけど宜しく頼むよ。」

「はい!」


話が纏まった所で、ユメが袖を引っ張ってくる。

「お兄ちゃん、私は何をしたらいい?」

「ユメは・・・俺と一緒に来るかい、盛清そん、青海さんと伊佐さんを護衛に借りて良いですか?」

「構いません、というか護衛です。」

「じゃあ、そういう事で、食事の時にでもみんなで報告しあうことにしよう。

さあ、始めよう。」

各自、行動を開始した。


「お兄ちゃん、何処に行くの?」

「鍛冶と大工の所に行くんだよ。」

俺は町を歩いて向かっていた。

俺の目に写っていたのは貧しい暮らしをしている人達だった・・・


「なんだ、てめぇは!」

鍛冶屋についたら、いきなり喧嘩腰で話される。

「ここの城主代理です、仕事の話に来ました。」

「えっ・・・城主さま・・・」

最初の勢いは消えていた。


「代理だけど、少し作って欲しい物があるんだ。」

俺はクワの先端に鉄を取り付けようと思い、相談する。


「こんなの・・・」

やりたく無さそうな顔をしていたので断られる前に・・・

「なんだ出来ないのか?その程度の腕か?」

「なんだと!こんなの簡単に決まってるじゃねえか!あっ!」


煽ると簡単に引き受けてくれた。

「なら頼もう、報酬もしっかりとだすから早めに頼むよ。それとこのツルハシと動物で引けるようなクワを作ってくれ。」

俺はツルハシの絵と無床犂の絵を紙に書き見せる。


「これは・・・」

「これが出来たら来年の田起こしが楽になるんだ、頼む、この町の収穫を上げ、飢えた人を無くすために協力してくれ。」


「・・・わかりました。全力で行います。」


「頼むよ、俺はこの後大工の所に行って来るよ。」


「私からも説明します!」

鍛冶の男は自ら大工に説明をしてくれて、町のためにと、力説、大工の協力を得ることに成功した。


「お兄ちゃん、牛はどうするの?あまりいなさそうだよ。」

「それはイノシシでも使って代用するさ。」

「イノシシって言うこと聞くのかな?」

「まあ、ちょっとした特技でね。」

俺は空を飛んでいた雀を呼ぶ、


すると雀が俺の指に止まった。

「こうやって、動物を自由に使えるんだ。」

「すごい!すごい!ねぇ、それってどんな動物でも出来るの?」

「どうだろ?動物園で試したら、全部出来たけど、あれは野生と違うからなぁ。」

「じゃあ、色々試さないと!」

俺はユメに連れられて、見かけた動物を一匹ずつ操っていた。


「お兄ちゃん、凄くない?」

「自信はあるんだけど、変人扱いされるから隠してはいたんだけど、こんな世界だからね、使えるものは使っていくよ。」

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