第6話 戦に巻き込まれる
俺達は戸隠の里を出てから南下していた。
「戦が始まる前に抜けてしまいましょう。」
戸隠を出て、善光寺に一晩泊まり、翌朝出発した。
北国街道を南下していると騒がしい声が聞こえてくる。
「どうやら、戦が始まっているようですな。」
盛清は冷静に答える。
「不味いかも、急いで抜けないと戦に巻き込まれる。」
俺は慌てるが・・・
盛清は落ち着いており、
「ヒロユキ殿落ち着きなされ、青海、伊佐、ユメさまとミユキ殿を背負いなさい。」
「「はっ!」」
「少し急ぎます、着いてきてください。」
盛清に案内され、走り出す。
何キロか走った所でまず俺が脱落する。
「ヒロユキくん!」
ミユキが叫ぶ声が聞こえたが、俺は盛清さんを先に行かす。
女性が捕まると死ぬより厳しい事が待っているのがわかっていたからだ。
「盛清さん、先に行って!上田で合流しましょう。」
「承知、お気をつけて!」
盛清、青海、伊佐はユメとミユキを連れて上田に向かう。
俺は走れなくなったので、歩きながらも上田を目指す。
「お前だらしないな。」
「マサムネ、お前なら着いて行けただろ?」
「お前を置いてどうするんだ?親友にこんなところで死なれたら寂しいじゃねぇか。」
「マサムネ・・・ごめん、いや、ありがとう。」
「おう!」
俺達は拳を軽く当てた。
それから、俺とマサムネは歩きながらも上田を目指す。
いくらか進んだ所で、騒がしい声が聞こえてきた。
「マサムネ、隠れよう。」
俺達は草むらに身を隠すと、立派な鎧を着ている武者が追手に追われているようだった。
「その首もらった!」
追手が斬りかかるが、追われてる武者も刀で応戦する。
何度か斬り結んでいると・・・
追われている武者の右腕が斬られた。
「うわっ!」
思わず俺は声を出してしまった!
「何奴!武田の手の者か!」
追手の武者はこっちに向かってきた。
「ヒロユキ、何してんだ?」
マサムネはタメ息をつきながら・・・
「我の名は立花正宗、我が友、土御門ヒロユキの命により御相手つかまつる!かかってこられよ!」
戸隠の里から持ってきた、槍をかまえる。
「中々の気構え、村上義清御相手いたそう!」
義清は馬上から正宗に突撃してくる。
「もらった!」
義清が繰り出す槍を正宗は掴み、無理矢理引き寄せ馬から落ちて来た所を槍で突き刺した。
「村上義清、討ち取ったり!」
マサムネのあまりの武勇に追手の兵が止まる。
「なんだ、将が討ち取られたのにまだ殺るか?死にたい奴からかかってこい!」
マサムネが威圧すると兵が逃げていった。
俺は斬られた武者に駆け寄る。
「ご無事ですか?」
「うむ、助太刀忝ない、迷惑ついでに私を武田軍まで連れて行ってもらえないだろうか?礼は必ず致す。」
俺は少し悩むも・・・
「わかりました、連れていきます。その前に手当てをさせてください。」
俺は手持ちにあった、水で傷口を洗い、消毒液をかけ、ガーゼで傷口を多い、包帯を締め付け止血した。
「お前何でそんなの持っているんだよ。」
俺の荷物から出てきた救急セットにマサムネがあきれていた。
「いや、いつ何があってもいいようにね。まあ、役にたってるからいいじゃん。」
あきれているマサムネを置いて俺は追手が乗っていた馬を捕まえる。
マサムネが特技が異常な武勇にたいして、
俺にも人にはない特技があった、それは動物と意志疎通が出来ることだ、ある程度までなら言うことを聞かせれる自信があった。
俺とマサムネが親友なのもお互い異常な特技があったから打ち解けれたというのも大きかったが。
俺は興奮していた。馬を落ち着け、武者を馬に乗せる。
「誠にすまん、お主達には如何に礼をしても足りん。」
「気になさらず、それより、追手が来ない内に行きましょう。私達はこの地に不馴れですので案内していただけたら助かります。」
「そうであったか・・・ならば、あの辺りを目指してくれ、兄上なら必ずあそこに陣をうつす。」
「わかりました、マサムネ、周囲の警戒をお願い。」
「あいよ。」
俺達は武者の案内の元、武田軍を目指した。
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