第3話 善光寺

日が暮れる前に善光寺に着くことが出来たが・・・

「荒れてるねぇ~マサムネ、おばあさんを下ろして戦闘態勢に入って。」


マサムネはゆっくりおばあさんを下ろして警戒する。

「どうした?」

「ここまで荒れていると盗賊がいるかも知れないからね。」

「なるほど。」

「じゃあ、マサムネと確認してくるからみんなは隠れててね。」

俺はマサムネと一緒本堂へ、


「しかし、何があったんだ?見事に壊されてるな。」

「善光寺がこの場所にない時代ということか・・・」

「そんなのあるのか?」

「うーん、そういえば武田信玄が甲府に移築してた時があったな。」


「お前達何者だ!」

俺達は1人の僧に会えた。

「よかった、僧侶がいた。」

「怪しい格好だな、この寺になんのようだ!」


「実は住んでた土地から神隠しにあい、この地に飛ばされてきました。ずっととは言いません、しばしの間でいいので庇護していただけないでしょうか?」

「なに?神隠しだと?」

「はい、この皆さんと違う格好は住んでた地との違いにございます。」

「・・・住職に会わしてやる。ついてきなさい。」

「ありがとうございます。」

不審に思いつつも、僧侶は住職の元に連れていった。


そして、住職にも同じ説明をした所、

「遠い地から難儀でしたなぁ、たいしたもてなしをすることは出来ませんが暫しの間滞在なされるがよろしかろう。」

「ありがとうございます。」


「ほっほっ、困った時はお互いさまです。それにこれも仏の導きにございましょう。建物の1つをお貸ししますから其処でお休みを。」

「本当にありがとうございます。」


俺達は入口付近の1つの建物を借り受け、休ませてもらえる事になった。


「さて、ヒロユキこれからどうするんだ?」

「今の所の情報だと1555年の武田の信濃進攻から1598年の秀吉が死ぬまでの間だとおもうんだよなぁ、もう少し情報がほしいから、住職か知識のある人に聞きたいところだね。」


「そうか、なら俺はその間に他の僧侶と仲良くなってくる。」

「なにするんだ?」

「あれだけの体格の奴らがいるんだから、力比べでもして打ち解けてくるさ。」

「あーお前なら出来そうだけどケガはするなよ。」

「モチロンだ。」


「あのヒロユキくん私達はどうしましょう?」

「ミユキさんとユメちゃん、タエさんは建物から出ないでください、一応女人禁制らしいので。」

「そうですか・・・何か役にたてる事があったら何でも言ってください。」

「その時はお願いするよ。サブロウさんは三人をお願いします。」


「わかった。」

「じゃあ、もう一度行くか。マサムネも行くんだろ?」

「おう!」

「待ってお兄ちゃん。」

「ユメちゃんなに?」

「あのね、これ。」

ユメは五芒星のトップがついたネックレスを渡してきた。


「これは?」

「これね、戸隠の忍の一族の証なの、お母さんがもしものためにって持たしてくれたんだけど。何かの役にたてないかな?」


「ユメちゃん戸隠の忍なの?」

「御先祖さまは頭領だったって聞いてるけど、詳しくはわからない。」

「わかった、ちょっと借りておくね。」

「私、役にたてたかな?」

「うん、役にたってるよ。ありがとう。」

「うん♪」

笑顔のユメちゃんを、ミユキは悔しそうに眺めていた。


そして、俺達は僧侶の元に、マサムネは僧兵達と相撲をするようだ。

そして、俺は・・・

「住職、お話があるのですが。」

「聞きましょう。なんでしょうか?」

「まず、今は何年何月でしょうか?」

「永禄4年8月20日じゃが?」

「永禄4年の8月20日となると・・・!、長尾影虎は妻女山ですか!」

「お主詳しいのぅ?何処かの間者か?」

住職の気配が変わる。


「い、いえ、間者じゃないです。この辺が戦になると避難も難しくなるじゃないですか。」

「まあ、そうじゃの。それにお主は間者ではなかろう、その身体は鍛えられておらぬからな。」

「はい、どこの家来でもありません。本当に違う所から飛ばされてきたんです。」

「ふむ、しかし、長尾の軍の事を知っておったと、些か違和感を感じるが・・・」


「そうだ、住職。これを見ていただけませんか?自分の同行者が持っていたのですが戸隠の里に連なる者だという証だそうです。」

俺はユメから預かったネックレスを見せる。


「なんじゃ?・・・くっ!」

住職はペンダントを受け取ろうとすると静電気のようなものが走り、手を離す。

住職は床に落ちたネックレスをじっくり見た後、平伏する。


「住職?」

「これをお持ちの御方をここに御呼びくだされ。戸隠の者には至急連絡いたす。」

「あの、話が見えないのですが?」

「お急ぎくだされ!」

「は、はい。」


住職のあまりの勢いに負け、ユメを呼びに戻る。

そして、ユメを連れて住職の元に。

「ささ、上座に・・・」

住職はユメを上座に座らせる。

「お兄ちゃん・・・」

「大丈夫だよ、俺がついてるから。それで住職さんお話をうかがっても?」

「はは、役巫女さまとは露知らず、数々の非礼御詫びいたします。」


「役巫女?」

「ご存知ないのか?この護符を持つものを護るようにと役小角様より各地に伝わっておる。わしらより行者の者達の方が大事にしておるが。」


「この護符は何なのですか?」

「伝承によると、役小角様のお力が秘められていると云われておっての、人にならざる力を使うことが出来るとある。」

「そんな力があるのでしょうか?」

「わからん、ただ、ワシが触れんかったことを考えると無いとも言えんの。」

「そうなんですか・・・わからない事が多いですが、この護符があれば戸隠の里でも庇護してもらえるのですね?」


「勿論だとも、当寺も出来る限りの事はいたそう。」

「ありがとうございます。」

「今宵は宴じゃ!皆、用意いたせ。役巫女の御成りじゃ。お供の方々も当寺の接待をお受けくだされ。」

住職は小坊主達に連絡させ、俺達の歓迎の宴を準備してくれた。

そんな中でユメは浮かない顔をしていた。

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