【二年生編開始】異世界帰りの邪神の息子~ざまあの化身が過ごす、裏でコソコソ悪巧みと異能学園イチャイチャ生活怨怨怨恩怨怨怨呪呪祝呪呪呪~
親父のことはどうだっていい。重要なことじゃない。それよりイギリスが来校したぞ。
親父のことはどうだっていい。重要なことじゃない。それよりイギリスが来校したぞ。
ふと親父のことについて考えてたら、いつの間にか寝ていたらしい。
あの親父はとにかく謎が多い。日本の家で寝てた筈なのに、目が覚めたら同期の神と一緒に誕生していたという時点で訳が分からん。その後、兆を越して京とか下手すりゃそれ以上生きて、あっちの世界の人間をじっと見続けていたらしい。だが結局、同期が最初に生み出した星に未練たらたらで、星から旅立った人は追いかけなかったようだ。
ビールがぶ飲みして、超上機嫌で語ったところによると、宙、時間、火、無、が同期だったらしい。あほかと。そんな連中に、ニートしてた時は白い目で見られたもんだよとか言われても困るわ。ついでに、唯一名がないから仕事もないのは仕方ないんだよと言い訳していた。
オカシイ。
何度考えても結論は同じ。嘘だ。
いや、厳密には、親父はあまり嘘がつけないから、正しくない、か。
それとだ。これまた、猫ちゃんズが勝っているときに、上機嫌な親父から一つ聞いたところによると、親父は同期の力をそっくりそのまま使えるらしい。
宙も、時間も、火も、無も。
オカシイ。
ここで俺が昨日、悩みに悩んだ疑問がある。それは唯一名もないから、なんにでもなれるとかそういう話じゃない。それ以前の問題だ。
俺は親父の正体を■■だと思っていた。それなら同期の力が使えることにある程度説明がつく。だがそうすると別に説明がつかなくなることがある。
同期達の力を4種共にそっくりそのまま使えるなら、親父は彼らの完全上位互換なのだ。
あまりにもオカシイ。優劣がありすぎる。宙、時間、火、無、■■。全てがまさしく原初神。原初の力と言っていい。それならほぼ横一列だ。
なのにどうして親父は飛びぬけている?
更に分からないことがある。時間の力を使えるなら、時空間へ干渉できるはず。なら、たとえ存在がでかすぎようと、やろうと思えば自分で地球へ帰ることもできたんじゃないか? なぜ帰ってこれなかった? 結局帰ってこれたのは、お袋が偶然親父を呼び出したからだ。いわば外部からの刺激のお陰だ。
更にだ。親父は地球に帰って来たくせに、家族や親戚を探したとかそういう話をしていない。
となると……だ。
親父の家族は存在していたのか?
親父は何年に異世界に行ったんだ?
いやそもそも、異世界、帰ってきた。この表現は合っているのか?
ある邪な一柱が脳裏にちらつく。存在として全く別物なのは間違いない。そうでなければ、親父が意識を持って好き勝手動いている時点で世界は滅んでいるはずだ。しかし……近いかもしれない。
全く。なんで親父のことを考えて正気度削られる羽目になるんだ。お陰で夜しか寝れなかったぞ。
結論。あの暗がりのベンチでジッと人を見つめている大邪神の真の役目は
「あなた、朝ご飯できたわよ」
「はいお姉様!」
お姉様の呼ぶ声が聞こえたので、布団からがばりと起き上がる。
今日はついにイギリスの生徒達がやって来る日だ。主席として遅刻は許されない。
そして……それが終わると年末年始の休みだ。そのせいで親父がここ最近毎日邪神間通信で、いつ帰って来るんだと聞いてくるから鬱陶しいことこの上なかった。だから、ついつい実家にいる親父のことを考えてしまった。
まあ色々考えたが、馬鹿親父は馬鹿親父だ。それ以上でも以下でもない。お土産くらい持って帰ってやるとするか。
◆
やってきました我がクラス。
「諸君おはよう」
おはようございます学園長。僕が夜中の23時まで考えてた、親父の考察を聞きますか? 結構自信あるんで、飲み会の前に知っておいて損はないと思いますよ。ちょっと夜に寝れなくなるかもしれませんけど。
「事前に通達した通り、イギリス側から個人に接触してくることが予想される。それもまた一つの経験だが、学業に支障が出るような煩わしさを感じたら、すぐに知らせるように」
ゴリラはクラス全体に言っているようでも、その視線はマッスル、チャラ男、藤宮君に向けている。
イギリスが来校した際、まず間違いなくこの3人に接触するはずだ。特に藤宮君はアーサーを降し、マッスルは一人でイギリスチームを吹っ飛ばしたので、何としても強さの秘訣を探ろうとするに違いない。
反対にチャラ男は微妙だ。なにせこの男、権能の行使が達人過ぎて、余程の使い手でも何やっているか分からない程だ。そのため、なんとなく凄いのは分かっても、どう凄いのか説明することができないから、ギリシャ以外ではそれほど注目されていない可能性が高かった。
仕方がないから、俺がイギリスにこっそり教えてあげてもいい。
藤宮君の虹は基礎四系統を寸分の狂いもなく一致させたら出来る。チャラ男はチャラいから。マッスルはマッスルだからだ。
うん完璧。っていうかほかに説明しようがない。
「再戦という話にはなっていませんの?」
「個人戦ではそういった類の話はあるようだが、チーム戦に関しては出ていない」
「それは残念」
お姉様の質問にゴリラが答えた。
どうもイギリスは、偉大なる優勝チームである、我がチーム【急造】に挑むガッツがないらしい。まあ、お姉様に3チームまとめてぶっ飛ばされたから、仕方ないと言えば仕方ない。
「失礼します。学園長、もうそろそろ到着するようです」
「分かった」
おっと。田中先生がやって来た。どうやらもうすぐイギリス校がやってくるようだ。しかし、妙に緊張しすぎてないか? 何があった?
「今分かったことなのですが……」
「……なに?」
田中先生がゴリラに耳打ちした。ふっ。邪神イヤーの前では筒抜けだぞ。
おいおいおいおいおいおい。マジかよ。
◆
バスに乗って来校した、将来イギリスを背負う若き騎士達。その誰もが油断ならない覇気と剣気を持ち、これぞ大英帝国の力だと発していた。筈だ。普段なら。
だが、若き騎士達の顔にあるのは緊張一色。
それもそのはず。
『また来ることになるとは……』
クッソ嫌そうな顔で呟く、80歳は超えているお爺ちゃんが原因だ。
コンスタンティンさんの弟子にして、第二次世界大戦と冷戦期の暗闘を潜り抜けた、英傑の中の英傑にして生ける伝説。
名を先代アーサー。
思わぬビッグネームの登場だった。
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