本当は怖い邪神達の会話

「いえええええい丑三つ時テレビのお時間でええっす! 何処にも放送してないけど!」


「いえええええいどんどんぱふぱふー! はっはっは! いい子には見せられないもんね!」


『何だ貴様達!? いやお前に覚えがあるぞ! 異能学園の生徒か!』


「え、何の事ですか? 学園一の優等生と間違えられるだなんて、隠しきれない知性って辺りが共通してるのかな?」


「そうだねマイサン! 通知表届いたけどやっぱ数学がなあ……」


「何か言った?」


「え、なにをだい?」


「んん? 気のせいだったか? まあいっか。いやあ俺っち的には結構我慢したんですよね! なんたって、流石に異能学園にいる最中に不審死とか行方不明になったら、学園長に迷惑かけるどころじゃ済みませんから!」


「な、なんて心遣いが出来るんだマイサン! マイワイーーーフ! マイサンはマイワイフに似て優しい子だよおおお!」


「へ、よしてくれ。それに親父の息子でもあるんだから、まああれだよ。親父も優しいって事さ」


「ちーん! ちーん! ちーん! は、鼻水と涙が止まらないいい!」


「あ、すいませんね! 親父の涙腺が緩いのはいつもの事なんで許してください!」


「ちーん! いやあお見苦しいところをお見せしました!」


『一体何をするつもりだ!』


「え、そりゃあ死んでもらいますよ? ね、親父」


「そうだねマイサン!」


『は?』


「でも結構悩んだんですよ。飛行機のエンジンに巻き込まれてーとかは、航空会社の人達に迷惑なんてものじゃないでしょ? それにロシアに帰った直後に死んだら、やっぱり日本で何かあったんじゃねって思われちゃうかもだし」


「だよねえ。やっぱりそこらの塩梅って難しいんだよね。でも普通の人にご迷惑をおかけしない。これ邪神的にとっても大事」


「だよね。でもそうすると、ちょっと時間が空き過ぎるんで悩んでたんですよ。んで思いつきました! その道のプロが身近にいるじゃんって!」


「どうもその道のプロです! よくパパも思ったものだよ。歯になんか挟まった感じがするから、出来れば早く解決するにこしたことはないって。それで可愛い息子に一つ案を出したんですよ! そ、れ、は!」


「精神を引っぺがしてコネコネしちゃえばいいって!」


「ついでにそこへ、浄力に加えて妖異との戦い方をぶち込めば完璧!」


「訓練生やロシア全体が、妖異との戦いに熟達出来てよし!」


「竹崎君に変な負担を掛けなくてよし!」


「そんでまさに死ぬほど痛いから、被害者の皆さんも満足してよし! いやあ、やっぱり持つべきものは、経験豊富で頼りになる父親ですよ!」


「ちーん! パパポイントが上がったよおお!」


「鼻水垂れ流しながら抱き付こうとすんじゃねえ! そのパパポイント没収!」


「がーん!」


『何を言っている!』


「何を!? 何をだと!? ああ!? 人工異能者計画! ストリートチルドレンと孤児! どれだけ使った!? ああ!? それだけ体にくっ付いてるのに何をだと!? ひgぉshヴふぃぶおlckjなkgろいtんvklsjだhfjdkじょあい!」


『ひっ!?』


「マイサンマイサン、顔顔。それと力ある言葉とか突き抜けて、人間じゃ理解出来ない言葉になってるよ」


「え、マジで?」


「はっはっは。マジマジ」


「いやん恥ずかしい」


『あああ、あれは祖国の国防上仕方なかったんだ!』


「おおっと、話せるだなんてタフですね。てっきりさっきので発狂したかと思いました」


「ふっふっふ。パパがマイサンの呪波を遮断してたからね」


「な、なんて気が利くんだ」


「でしょでしょ?」


「まあ一応見てみましょうか。オセロをぴんっと」


「じゃあパパもルーレットスタート!」


「パンパカパーン! 黒ですよ黒! つまり教官殿の周りにいる人達の正当性は証明されました!」


「パンパカパーン! 黒です! 黒色ですよ黒色! いやこれは間違いなく正当性があるね!」


「それにしても、ぷぷぷ。嘘ばっかり。成功する見込みがないから止めとけって止められたのに、燻ぶってる自分が出世するにはこれを成功させるしかないって実行したんでしょ? 案の定ドジって空きがあった教官職に飛ばされちゃってまあ。いやいや、でも感謝してるんですよ? 教官殿が、アメリカ校が出来なかったことをやり遂げるんだって主張したから、この後素晴らしい教官殿に生まれ変わって、ロシアの妖異被害を間接的に減らすことが出来るんですから。という訳でやりましょうか!」


「頑張れマイサーン」


『あああああ来るな来るなあああああ!』


「痛くなーい痛くなーい精神引っぺがしそりゃ!」


『ぎゃぎおえwbhかskshていをヴぃあlmあいfjpvhbdすcがおいえうとpvmlざgkrl』


「あ、すいません嘘付いちゃいました! 本当はクッソ痛いです! それにしても、俺ってさっきこんな感じに話してた?」


「そうそうこんな感じこんな感じ」


「ははあ。おっと、刻んでーの、コネコネしーの、浄力と妖異についての知識を可能な限り無理矢理詰め込みーの……完成! そんで元の理性の残ったのは、周りの皆さんに差し上げて終了!」


「腕を上げたねマイサン! 流石は邪神流お仕事術免許皆伝者!」


「へ、楽なもんよ。はいではニューアレクセイ教官殿、あなたのするべき事は何ですか?」


『はい。私のすべき事は妖異から人類を守るため、一人でも多くの優秀な生徒を育て上げる事です』


「素晴らしい!」


「これは名教官誕生だね!」


「それじゃあ今日の丑三つ時テレビはこの辺で!」


「誰も見てないけどねマイサン!」


「確かに!」


「あっはっはっは!」


「はっはっはっは!」































 ◆

 NO.Xを理解しようとしないで下さい。NO.Xは外見が人間なだけなのです。人間のふりをしているだけなのです。


 その精神構造は我々人間が理解出来るものではなく、そして人間をどう捉えているか全く不明瞭です。


 その善悪の基準は我々人間が理解出来るものではなく、行動を起こす基準も全く不明瞭です。


 NO.Xは在ってはならないNOナニカXなのです。


 そして必ずこの言葉を思い出してください。


 触らぬ神に祟りなし。





 この諺には致命的な欠陥がある。触りも関りもしなくとも、ただ見られてしまうだけで駄目なのだ


 -異能研究所所長、源道房の追加文-

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