13泊目 いっぱい食べる君が好き
「大変なご迷惑をお掛けしましたっ!!!!」
エルがボロボロになって帰ってきてから2日目の朝、朝食時の食堂に大声が響いた。
「私の勝手な行動で皆様に迷惑をお掛けしました、ごめんなさい!!!」
泣きそうな表情で食堂に入ってきたエルは、そこにいるゲストハウスの従業員たちに謝りながら頭を下げた。
「エル……! 回復したのか、良かった!!」
と俺が安堵の声を漏らすと、そこにいる全員もエルを祝福した。
「エルちゃん、もうどこも痛くない!? 大丈夫!?」
「エルさんが元気になられて嬉しいですわ、心配しましたのよ?」
「おお! これはこれは、どこからどう見ても完治やな〜! ウチの僧侶としての腕もまだまだ落ちてないやん♪」
「いやいや、嬢ちゃんが元気になったのは俺様のデリシャース! な粥のおかげだろう! にしても、良かったな!」
いつも通り騒がしいゲストハウスの面々に安心したのか、エルも弱々しい笑顔をこぼしながら食卓に着く。
目の前に置かれた焼き立てのパンに手を伸ばしながら、俺はエルに声をかける。
「俺たちは誰も迷惑をかけられた、だなんて思ってないし、エルが元気になってくれて心の底から良かった、と思っている。だから恐縮する必要は何もないぞ! ほら、腹も減ってるだろうしいつもみたいに好きなだけ食べな」
「あ、ありがとうございます……!」
お礼を言い終わったエルは、物凄い勢いで自分の皿の中身を空っぽにしていく!
この小さな身体のどこにこれだけの量が入るのか、あまりにも謎が深い……。
胃袋が大きくなる魔法でも使っているのか?
まるで成長期の男子高校生のような食べっぷりに、様々な感情を通り越してもはや感心をしてしまう……!
ゲストハウスの従業員たちも、満足気な表情でエルを見守っている。
特にオイゲンは、ご自慢の料理を美味しそうに頬張るエルを見て、目頭に涙まで浮かべている。
そしてエルの食べるペースが少し落ち着いてきたころ、俺は改めてエルに向き直って聞いた。
「エル、一体あの日何が起こったんだ? 教えてくれ」
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