13話 生徒会へ
「それで、あなたたち1年生が生徒会室に何の要件なの?」
生徒会長が俺たちに対して不思議そうな視線を送る。
「要件があるのは、私だけです」
彩華が自分の胸に手を置いて前に出た。
「ふーん、一体何のようかしら?」
「私を生徒会に入れてください」
「そういうことね。それなら大歓迎よ!いまの生徒会は人手不足で困っていたところなの!」
生徒会長は目を輝かせた。
「今空いている席は会計しかないのだけど、いいかしら」
「はい、勿論です! それで質問なんですけど、生徒会に入るための投票とかはないんですか?」
「その問いには俺が答えよう!」
生徒会長の代わりに口を開いたのは、眼鏡をかけた女子生徒の隣に脚を組んで座る男子生徒だった。
さきほどまで、そこには誰もいなかったはず。いつの間に現れたんだ。
「なんでアンタがここにいんのよ。
生徒会長は引きつった顔で男子生徒に冷たい視線を送った。男子生徒はそれを軽くあしらって続けた。
「学園の規則で生徒会役員は生徒会長の任命と学園の生徒4分の1の認可が必要というルールがあるんだ。ただし、学園の生徒3分の2による反対署名がある場合は任命を取り消しにも出来る。そんなことは過去に一度しかなかったようだけどね」
生徒手帳を観ながらペラペラと喋る。生徒会長の言葉は無視するつもりらしい。
「それと、生徒会長に関してだけは学園全生徒による投票が行われる。立候補者が1人の場合は学園の生徒、5分の3以上の承認が必要となる。」
「詳しいですね」
「まあな」
男子生徒は自慢げに口角を上げた。だが、やはり生徒会長の目はたいへん冷ややかなものだった。
「…………言っておくけど、いまの殆どテキトーよ」
「じゃあいまの説明何だったんですか!?」
「即興だよ」
米澤先輩はケラケラと笑った。
「ったく、ごめなさいね。この変人は米澤って言うの。1年生はまだ知らないと思うけど、彼は有名人よ。勿論、変わり者の方でだけど」
米澤先輩は「よろしく~」と言って手をあげる。掴みどころの難しい先輩だこと。
「ご主人様、あの御方、なんだかお姉様と同じ匂いがします」
珠李がそっと耳打ちする。たしかに、あのおちゃらけ具合が舞桜にそっくりだ。……可能な限り近づかないでおこう。
「米澤の話を訂正しておくと、生徒会役員は任命制ってところはあってるけど、生徒の承認は不必要よ。それに生徒会長の立候補が1人の場合は先生の承認だけで良いのよ」
「そうなんですね」
「ええ、だからしばらく生徒会に立候補する人がいなければアタシが承認してあげる。他にも立候補者がいた場合はお試しで生徒会の仕事をしてもらって、その仕事ぶりを参考に、生徒会内で話し合いや投票で決めようと思うわ」
「ありがとうございます!」
「そうね……とりあえず、一週間を目途に生徒会の仕事を手伝って貰うわよ!」
「わかりました! よろしくお願いします!」
<あとがき>
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