トラウマを植え付けてしまった日

 まあ旦那の愚痴ばかり言っているが、私だって失敗する。

 今回は息子にトラウマを植え付けてしまった日の出来事を話そう。


 そう、それはやはり4、5歳ぐらいの時だったかな?

 よく行く図書館があるのだが、一階から三階までが全て図書館の小さな建物だった。

 そこで私と息子は三階のキッズコーナーで本を読んでいた。

 すると息子が「トイレに行きたい」といいだした。

 私は雑誌を読んでいてよく来ている図書館だったので「一人で行ける?」と尋ねた。

 息子は「うん」と答えた。

 ただ、トイレは三階にはなく二階にあったので。

「階段下りたら目の前にあるから」

 と私はそういって息子を一人で行かせた。


 ここでもう少し強く行っとけばよかったと思ったのだが、その時は気が付かなかった。


 それからしばらくしても息子が帰ってこない。


 階段の方をじっと見て待っているが、息子が上がってくる気配はない。その時階段の横のエレベーターが目に入った、少し前に二階から一階に下りたまま動かないそれに、嫌な予感を覚える。

 エレベーターのボタンを押す。

 そして開いたその中に、今にも泣きそうな顔の息子を発見した。


 どうやらトイレから出たタイミングで二階から一階に降りる人がいたので思わす飛び乗ってしまったようだ。

 しかしエレベーターは母の待つ三階ではなく一階に。

 そこでせめて下りればいいのに、そのまま息子は中に残った。

 しかしエレベーターの三階ボタンには手が届かずそこで途方にくれていたようだった。

 そこで開くボタン押すという発想はまだないらしい。


 せめて「帰りもエレベーターを使わす階段を使うように」といっとけば、いやいややはりいくら慣れた場所とはいえ子供を違う階に一人で送ってはいけないのだ。


 それにその後にトイレで子供がさらわれた事件を知り、やはりいくら一緒に入れなくてもトイレの前で目を光らせて待ってないといけないのだと思った。


 それから息子は熱を出す前などに見る悪夢は必ずエレベーターに閉じ込められ知らない場所に放り出される夢を見るようになってしまった。


 本当に悪いことをしたと反省している。

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