第31話 三姉妹

二人で興奮しあい。

疲れ果てた二人は、爆睡していた。

娘が孫を知らぬまに三人も

産んでいた。


羽奈とは、電話はしょっちゅう

してたし

仕事が忙しく帰れないと言っていたのに何と大龍家の跡取りを産ん

でいた。

血圧が上がる程驚いても

無理はない。



しかもTVで羽奈にラブラブさを

アピールしている大龍の跡取り?。


日本を代表する大手企業

心配も大である。

嬉しいやら、心配やら、

孫産んじゃってるし、どうしよう

もない。

病院へ行くのも忘れて興奮しすぎて、

爆睡!



ただいまぁ~つかれたぁー

ママ、ママ、パパパパ

おなかすいたよ~


三女の里奈が帰って来た。

里奈は今年、

小児科の医師になっていた。


「パパ!ママ、ママ、

どうしたの?」

 脈を取り、熱をはかる。


ただいまぁ~つかれたぁー

次女の加奈が帰って来た。

加奈は27歳になっていた。

外科医と結婚話が進んでいるが


羽奈が結婚していないと思って

いる為引き延ばしていた。

姉より先に嫁に行けない。

加奈は、医療事務をやっている。



「今日大龍龍祐の子どもが、

うちの病院の産科で産まれたんで

マスコミがさぁ、フウー

大変だったんだあ、アレ

どうしたん。」



たいしたことない、

大丈夫。

里奈は、寝ている2人の前から

立ち上がって

長い髪をかき上げて言った。

2人で、変なとこ寝てるよね。



里奈は手を洗いながら

「あれ、お姉ちゃんの

病院だったの?

 すげーじゃん。」



「聞いた話じゃ凄い綺麗

なんだって!!

 大龍龍祐がさぁ、

ベタボレ何だってよ。」



加奈はあきれ顔で



「ああ~、みたみた、しかも羽奈

とかいっちゃってさぁ、

羽奈おねえと同じ名前だ

よ。笑ったワ」



「お姉ちゃんと同じ病院なら

     会えるんじゃね。」



「特別室だし、総婦長とか、

産科の先生しか入れないよ。

計算も事務総長がやるし、

ムリだ ね。」




「綺麗とか聞いたら見てみたいよね」


「芸能人じゃないからね。一般人

みたいだ から、無理だよ、

羽奈姉だったりして!」


「アハハ、マジだ!! 羽奈姉も早く

結婚し ないとね。ナニコレ?」



「名刺じゃん、誰の?」

里奈はバナナをパクリと食べ大龍?

「ンゴホンゴゲホゲホ‥」


「なにやってんの?バカじゃん。」



里奈から名刺を取り・・・誰の?。


大龍龍馬?大龍、は!。大龍龍祐の

父親??

加奈と里奈は

目をバツと開いた。



「ええー!!うそお~おおお」


「まさかだけど、羽奈っておねえ?」


「兎に角寝てるだけだから起こそう。

パパ パパ ママ、ママ


揺り起こしたら、起きた。

二人は同時にしゃべりだし

「兎に角、飯食ったりしてるばやい

ではな いよ病院、病院、」


帰ったばかりの加奈の勤める、

病院へUターン。


特別室の、ドアを開けると

そこには、本当に羽奈がいた。


「お姉、なにしてんのよ。」


「いっ、嫁にいった?聞いてないけ

ど?」

 次女の加奈が、冷やかし加減で言った。



       「ごめん。」


「双子、元気良いんだってね。

なんで知ら せんのよ。」

三女の里奈もじれったそう

 に言った。



「ごめん。心配かけたくなくて。」


そこへ龍祐が入って来た。

4人を見ると、少し緊張した面持ちで



「初めまして龍祐です!

申し訳ありません

 俺が不甲斐ないばかりに。」


「いいえ!!今日ご両親がみえて、

お詫びを いただきました。

それだけで充分です。」


父親と母親は、龍祐と羽奈を交互に

見てわらった。


「ママ、ママ、お腹いたいの

なおった、

«あれ。»

«おじいちゃん。»

«お婆ちゃん。»」


「ママ・・・ママのお顔みたいな、

お姉ちゃん ダ レ?」

同じような顔がならんでいたから

不思議がるのも仕方ない、子供は

素直が一番


ふふふ

「龍太郎と、龍乃祐の 

おばちゃんだよ。」

里奈が加奈を見ながらニヤリとして

双子に言った。


「大東病院で小児科の医師をして

ます

 三女の里奈です。」


「この病院で事務をしてます。

次女の加奈です。」


「お義兄さん宜しく御願いします。」


「あ、ありがとう、よろしく」


しかし良く似てますね。ビックリだ。」

髪型が違うだけで、そっくりだね。」


「むかしから美人姉妹って

言われてました。ヘヘッ。赤ちゃんも美人だったよ。」


羽奈がてれくさそうに

「名前はね、お義父さんが、琴音

と付けてくれてね。いい名前でしょう。」


「双子の名前はね一字ずつ取って

つけたの


龍太郎は、パパ、の太郎と

義父の龍なの。龍乃祐は、義父の龍

に、龍祐の祐で義母の乃で龍乃祐だ

ょ。可愛いでしょ。」




父は鼻をすすりながら頷いた。

次の日


病院には沢山のマスコミがいた。

龍馬と菜乃子をマスコミが取り

囲んだ。


龍乃祐はカメラに興味を示し

トコトコ

ひとりのカメラマンの所へ

歩いて行った。


「おじちゃん、これナニ?」


「カメラって、言うんだよ。君は

お孫さん?」


「そうだよう。おじちゃん映して。」


龍太郎は、人なっこくいった。


「ん~困ったな!」

「御願い~

  御願い~」


「じゃあ、ちょっとだけだよ。

なにかやってご覧。」



二人はにこりとして

座り込み

「お嬢さんを嫁にくだしゃい。」

ペコペコ

「頭を上げてくらしゃい。」

ペコペコ

「大龍家の嫁いゃ娘にくらしゃい。」


「大龍家の嫁は、はなしゃんしかい

ましえん。」


マスコミは羽奈と龍祐の親の嫁としての、もらい受けの

シーンを双子がビデオで見たのだと


勘違いして、面白動画で流した。

大龍家は国民に与える印象が変わ

ってきた。ガチガチに硬い企業の

イメージが柔らかく

なった。

     

それこれしながら早1年がたった。

また羽奈のおなかはふくらんでいた。



(念には念を入れて羽奈を縛ら

ないとな。

またチョッカイ出されたら

叶わない。)


それから琴音が産まれて、

1年半でまた女の子が生まれた。



「龍祐ちょっと来い!」

父親は俺に


「羽奈の身体も考えんか!

いいか、ニ年間は開けろよ!

いいな。」



ああ‥(´д`)親父は俺の愛が止まらな

いのを知らない。

だが親父が言うのも然り。



桃乃は愛らしい娘だ。桃の節句の

3月3日に生まれた 。

菜乃子の乃を付けていた。

ホンワカした感じが義母によく

似ている。



賑やかに、せわしなくあっという

間に四年がすぎた。



蘢乃祐も龍太郎も10才になった。


琴音も6才、桃乃は3歳になった。

上の双子はまさに龍祐の性格で、

俺様気質もあるが羽奈の教育で

優しい俺様である。



龍祐が、もてたとしたら2人は龍祐

を越して、モテモテである。


やんちゃで男の子を従わせる性格の

琴音は羽奈の妹たちのそのまんま

だった。



可愛く愛らしく女の子女の子の

性格の桃乃は義母の菜乃子

そっくりだ



ある日、桃乃を連れ本屋さんへ寄った

最近の桃乃の御気に入りはDVDの

ついた昔話だ。

「ん~何だろう。桃乃はこれがいい

の?」


「うん、あのね夢でこの

お地蔵さんがね


読みなさいって、ママに読ませ

なさいって。」



(時々不思議ちゃんなのよね~

桃乃は。)


ま!いいかぁ、嫁探し地蔵と龍・・・ 

面白そうだし買うか。




その夜、龍祐は、海外から雇用している、外国人の為クリスマス忘年会の、案内状を印刷していた。

勿論国内の取り引き先、お得意様

など千人を越す客の催し物


あ、手作りにするか?

芸能人を呼ぶか悩んでいた。


女を呼ぶと又羽奈に疑われかねない。

男性グループにするか?


外国から呼ぶか?

それに宝生グループ

も御宮司グループも、

社長が代替わりしていた。



つまり宝生奏と御宮司陽太が

新社長!どちらも 

羽奈の元彼だ‥。



微妙な気持ちは吹き飛ばない。

どうする?どうする?

あいつら男前だし。羽奈がフラッと

しないとも限らない。


なんせ一度は好きになった男だ!

羽奈を欠席させるか?

ん~会社のパーティーに妻が居

ないのも何だし。


案内状のリストは秘書に丸投げだが

新しいリストは今年の新客のぶんは

自分で用意して発送する。



まあまあ考えすぎだよな。

あいつら来ないだろ。代理人出すよな!。

いざという時は、ママ、ママ、ママ、反則かもしれないが、

俺には4人の子がいる。


もう一人必要か?

仕込んどくか?

変な事ばかり企む龍祐だった。



10月終わりに案内状の発送は終つた。、

12月23日

PM18:00

リプトンホテル

薔薇の間にて。



24と25は家族で過ごすことが

大龍家の決まりになっていた。

勿論

家の家政婦さんや家関係の

人間のみですごす。


25日のO:00は必ず羽奈と

過ごした。

過去のトラウマも子供達の

おかげですっかり消えていた。



二人でワインをあけるのが楽しみ

になっている。

そして白い雪と共に冬がやって来て

12月23日に、予定通りに、

パーティーが執り行われた

今年は、


     ダンスパーティー


羽奈はピンクの薄桃色の着物を着て、グレーの金糸の入った帯をして、濃いピンクの帯締めをしていた。

髪はキチンと結い上げて凄く綺麗だ。


まさに、大和撫子


羽奈と菜乃子が子供達を連れ

会場に入って来ると、ピリピリした

雰囲気が急激に和らいだ。



会長と社長が、

でれーっとしてるからだろう。

菜乃子は、渋い、薄紫の着物に、

柔らかなピンクの帯をして、

60歳を過ぎているのに

美しかった。



「パパー4人の子供は、龍祐に飛び

ついてべったりしていた。


龍祐は龍乃祐と龍太郎に


「今日は頼んだからな。

ママの側から離れるなよ。」

くりかえし念を押していた。



父親の心配性に呆れながらも

ハイハイ、と請け負った。



報酬は最新のノートパソコン!!


「いいか!これはビジネスだぞ!! 

成功しなければ、報酬は無しだ!」



幼少期からビジネスとは

何たるかを

事ある毎に費やしていく。



将来、大龍を背負う二人だ!



祖父の立ち上げた会社と

父親が別に立ち上げた会社


どちらをどちらが継ぐか

解らないけど

基礎はしっかりと叩き込んでいく。



そうして何千人とゆう人の前で、

挨拶をする父親の姿を、

見せるのも父親の教育でもある。


熊祐は会場を埋め尽くした

人々の中に

宝生奏と御宮司陽太の姿を

目ざとく見つけ出した。



龍祐のスピーチも終わり、

乾杯のかけ声と共に、

会が始まった。


会場内にはクラシックが流れ

みんなダンスを踊り出した。


まさに西洋の舞踏会を思わせる

  風景が広がっていた。


龍太郎、龍乃祐の友人も来ていて

琴音の世話や桃乃の世話を

手伝ってくれる。



龍乃祐と龍太郎は、英語も話せて

その友達も、英会話も習っているの

だろう


みんな、結構話せるので

外国の子供達と楽しんでいる

ようだった。

勿論、羽奈の護衛も怠りない。



龍祐は直ぐ、陽太と奏の所へ行き

2人共身体は良くなったかと聞いた。

奏は結婚して10年を超えたが

まだ子宝にめぐまれにくかった。



陽太は先日見合をしていたが

なかなか上手く行かないようだ。




原因は、まだ2人共羽奈が諦め切れ

ないのだろう。


龍祐にはその気持ちが良く分かる。


龍祐も叉、羽奈が好きでたまらない。


向こうから桃乃を里奈が

抱いてやってきた!


「御宮司先生?」

里奈が呼ぶと陽太は振り返った。

「羽奈?!!」


里奈は

「姉とお知り合いですか?」


龍祐が

「美人だろう。羽奈の妹の

里奈ちゃんだ。」


すると里奈は眼鏡を出して

髪をくくって見せた。


「あーあ大東病院の、確か小児科の

 相場先生。」



「はい!!ご指導ありがとうございました。」

 里奈は赤いカクテルドレスで

 本当に薔薇のようだった。

 にっこりと、微笑んだ顔は愛くる

しく可愛かった。


 羽奈が来なくていいのに

琴音を連れてやってきた。


(何も二人の前に出てくるなよ。)

心の中で龍祐はつぶやいた。



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