第27話 龍祐の後悔

静かに開けた箱には


龍祐をいっも飾っていた品々がある。

男龍を見ると泣きそうになる。


そっと手紙をお金と別に入れた。

とうとう別れの時が近付いてる。´


朝御飯にも気合いがはいる。


お味噌汁、出汁巻き玉子、ヒジキの

煮物アジの開き、それから籠祐の

大好きな黒砂糖饅頭。

これを嬉しそうに、食べてくれた

羽奈から誘って

長い熱いキスをした。


「龍祐、もう一回キスして。

愛してるっ て、いっ・・・」



「帰ってからな。急がないと。」


「待って」

羽奈はマンションを出ようとした

龍祐の腕を握り


「い、行かないでくれないかな?

今日は1日いてくれないかな?

龍祐と居たい!

離れたくない、嫌だ‼

お、お願い

二度とこんな事言わないから。」


「オイオイ!我儘は、そこまでだ‼」

優しく両手を使い羽奈の握った

腕を外しながら!


「誕生日は、出張から帰って

北海道で祝おう。

俺も楽しみにしてるんだよ。

実はもう予約してあるクフフ」



・・・‎¯ࡇ¯・・あ💦

「ゴ・・メン‼つい

どうかしてた、気にしないでね。

うんアハハ💦そうだったね。

ごめん、ごめん。」


少しガックリしながら、彼の車を

笑顔で、送る。

龍祐も車の窓から優しく見つめ


「なるべく早く帰ってくるよ。」


「う・・うん。

お仕事頑張ってね。」


「おう。」


(もう少しだからガンバレわたし。

泣くな泣くな!ガンバレ)


スーツと、滑るように車は

マンションを出ていった。


うっ、うっ、うっ涙はポタポタ、

ポタポタと落ちた。


今日少しお腹がポッコリして来た

ように見える。

双子ちゃんは確実に成長している。


わたし頑張らないと


もう泣く暇もなくなる。

だから‥今は泣かしてよ。

胎教に悪いと思ったが涙はとまら

ない。


本当は龍祐に飛び付いて

不安、怖い、助けて龍祐怖い怖い

助けて、傍にいてよ‼


そう言って泣きつきたかった。

初めての妊娠、出産、育児、双子

不安のかたまりしかない。


でも不安なのは子供達も同じ

こんなに弱っちよろくてゴメン‼


泣くのは最後、もう泣かない。

だから泣かして!! 


エントランスから溢れる涙を

エプロンで拭きながらエレベーター

に乗る。


初めて来た時は両目を瞑って

30階迄ドキドキしていた。


部屋のドアを開けると未だ龍祐の

お気に入りの香水の、残り香が

仄かに香っていた。


座り込み龍祐の

脱ぎ捨てたパジャマを

抱きしめベッドの上で‥泣いた。


気がついたら

お昼を回っていた。


ふらふらと立ち上がりお腹を撫でて

「3人でも、頑張ろうね。」


そうだ一人じゃない、3人だ。

食欲は0だけど子供達に栄養が

回らないと困る。


今は自分の事より、子供達だ。

だって、この子達は私1人の

子どもだから。


頬を叩いて気合いを入れる。

ヨッシャ~!! とりあ得ず、飯、

掃除だ。




洗濯を回していたら龍祐から連絡がはいる。



「どうしたの~休憩中?」


「うん、羽奈が気になって。

羽奈も仕事中か?

朝はバタバタしてごめんな!」


そう龍祐は羽奈が仕事を辞めて

いたのを知らなかった。


毎日新しい住処の準備に終われ

忙しくしていたから

それを仕事と龍祐は思っていたの

だろう。


「優しいね、どうしたの?。」

««龍ちゃ━━━ん。早くご飯いこ»»


 向こうから可愛らしい声が入る。


「呼ばれてるよ。早くいかないと。」


「う、うんゴメンな。」


「いいよお、北海道、北海道。」



「行きたい所、あったらゃんと

メモしとけよ、じゃあな。」


「うん、わかった。頑張って‼」


吹っ切れたのか、涙が底をつくまで

流れたせいか羽奈は、スッキリ

していた。

 

「今日出て行こう。

一日延ばし二日延ばししても

変わらない。」



掃除も終わったし羽奈の

残骸も処理した。


小さな箱には

メスの龍とオスの龍、どんなに

離してみてもいつのまにか、

重なってる。

オスの指輪の中にメスの龍が

収まっている。

お互いが番いだと言ってる様な

物だ、コレは離したらダメだと

羽奈は思った。


「そっか!あなた達はもう二度と

離れる事無いからね。」




龍祐と住むようになってから、

コッソリ雌の龍を一緒に入れて

おいた。


龍祐は、あの日以来この指輪を

しなかったのか龍祐の

指輪コレクションの中に大事に

収まっていた。


龍祐の高価なコレクションの中で

一個指輪を挟みこんでも龍祐は

気ずかなかったんだろう。



ならドラゴンリングを

龍祐に黙って拝借しても気づかない

だろう。


誕生日プレゼントに勝手に頂戴した。

慰謝料に貰っちゃう。

だけど龍祐の買った値段位は入れ

とかないとねド口ボーに成り下がり

たくはナイ。


雌のドラゴンリングは、

まるで龍祐の後ろにしがみついた

時の羽奈のように安心した目を

している。


初め手に取った時ギラッと輝いた

ルビーは、本物だと店主は、言った

その時の光は刺すような

感じだったが今は優しい光を放っている。


そう、あの日の輝きより

優しく綺麗に見えた。

本物の龍の雄のリングは、やはり

このリングだったのか‼

間違わなかったと

何故か羽奈は、ホッとする。




      


羽奈の明るい声に、安心しつつ

会場を 作り上げる。


勿論外国人もたくさん来る。

今思えば、羽奈が異常に明るかった。

その意味を知らなかった。


誰に何と言われようがパーティー

に羽奈を連れて行くべきだった…。


羽奈は 嘘 つきだ。

この時はまだ、羽奈を失いかけて

いるなど夢にも思っていなかった


俺は黙々と作業を続けた。 


デカいクリスマスツリーを

中心に、飾り付けて行く。

会場も、本社の社員総出で

かなり早く終わりそうだ。




夜八時羽奈は、紙袋一つ下げて

マンションを出た。


荷物は殆ど配送して新しい

マンションに片付いている。

      


明日から会えないと思うと、

どうしても

もう一目だけ龍祐に、会いたく

なった。

もうパーティーは始まっている。


コッソリパーティーを覗いてみた。

社長の招待を受けていると

龍祐のカバンから抜いた

招待状を受付で見せて潜入成功‼


だだっ広い会場にはたくさんの

着飾った紳士淑女の皆様

クリスマスツリーにも負けない

くらいピカピカな飾り付け

グルリと一周すると


窓際に立つ龍祐が手のひらに乗

るくらいの赤い細長い箱を

持っていた。


物陰から女の子の嬉しそうな

声がした。

「龍ちゃん、ありがとう大好き!」



月明かりが二人を映し出し彼女は

彼に甘えて彼も喜ぶ彼女に

満足していた。


彼女も、プレゼントを渡していた。

きっと高額なんだろうな。

庶民な私にはとても買えなそう

な時計。龍祐は有り難うと、

言って箱を開けて喜びながら

腕に付けていた。


「ハア、セレブな普通の恋人だ‼」

羽奈はその様子を見て未練は

吹き飛んだ。


「来年は、

リングがいいなぁ~︎💕︎💕」


そう言うと彼女は龍祐に飛びついた。

2人はイチャイチャ


ああ~パーティーに誘ってくれ

ないのはそう言う訳か?


大きな花瓶みたいな壺に赤い

バラが200本くらい生けてあった。

その後ろに回り、龍祐に電話してみる。

着信音が鳴り龍祐がでた。


「龍祐楽しそうだね。良かったね。」


 「ああ、忙しいだけさ。」


「ふ~ん。

で、龍祐私の

クリスマスプレゼント

はあるの?。」




「おう、あるぞ!

出張から帰って羽奈の好きな

物買いに行こ う。

結構高くてもいいゾ‼」


 「ふう~ん。じゃあ、

  誕生日プレゼントは?」


「・・・ウッそれも一緒に買おう。

羽奈のすきな

「じゃあドラゴンの指輪がいい

あれが欲しいの,

あれしかいらない。»»」


‥あれは大事な指輪なんだよ。

あれは大切な物なんだ‼」


   「駄目なの?。」



「わかった。」 ««ブチッ»»  


思いっきり電話をぶっちぎったった。 


プレゼントを用意しないなんて有

り得ない、まだ彼女じゃーん私。

まあ おあいこか?これで正式に

龍の指輪は私の物だ。


後は、 「お幸せにーだ!! 」

キャリーバックを持ち 、龍祐の

父親を探した。


偶然エレベーターの前で、彼の

秘書の男性と出くわした。


彼はΣ( ̄ロ ̄lll)ゲッ!!不振人物と

合ったような

リアクションで、かなり失礼な感

じ(怒)で羽奈を見た。


メソメソから抜け出した、羽奈は

「秘書さん、手の平を出して

ください。」


羽奈は、そう言って秘書が

手の平を出した途端彼の手に


ポンとカードキーをおいた。


「これでお別れです。

約束は、守りました。


彼のお父様にお渡しください。」

そう言ってスキップで手を振った。


「さようなら。龍祐一!!

バイバ━━━━━━━イ‼」


クラッシックの音楽の音に

羽奈の声は

消されたのかも 知れない。

龍祐には届かなかったのかも

しれない。



だけど、ケジメをつけないと

進めない。

クリスマスソングに背中を押され

ながら龍祐の会社を出ると

タクシーが止まっていた。


黄色いタクシーの運転手さんを

確認すると


フフッ「また会いましたか?」


羽奈の苦笑いに運転手さんは

「場所をワザと変えたのに

会っちゃうもんなんですねアハハ

また今年もやっちゃいましたか?」


「はい。

御期待通りです。ウフフ」


「それはご愁傷さまです。

アパートでいいですか?」


「いえ、今日は

駅にお願いします。

私 引っ越ししたんです。 

もう会えませんね。

恥ずかしい所ばかり見せてしまって。」


タクシーの運転手さんは

「いえいえ、あなたと私は何かの

縁があった のでしょうね。

お元気でね!!」


そう言って駅に羽奈を、下ろすと

また賑やかにイブの街へと

帰って行った。



二時間かけて新居についた。

前から準備したお陰で不便はない。

何回も来たからスッカリ私の

部屋だ!

ベビーベッドを眺めながら

お腹を撫でる。



龍祐から着信音がなり

「どおしたの龍祐?忘れもの?」


「いや、羽奈どうしてるかなと思って。」




「ヤダ‥出張でしょう。

気をつけて行ってらっしゃい。

あ!一つ聞いていい?」


「なに?」


「パーティーどうして誘ってく

れなかったの?和花さんがいた

から?」


 「え、・・・あ、うんゴメンな!! 」



「いいってば、知りたかっただけ。」


「来年は羽奈と行くからな。

来年のパートナーは羽奈だから!!」


「ん?来年=和花さんとだと思うよ。」





  「怒ってるのか?悪かったよ、

ごめん。   

北海道、楽しみにしとけよ。

   う~んと蟹喰えよ。」


「ウ~ン、北海道には

 行かないよ、私・・。

和花さんと行きなよ

 仲いいし、楽しいんじゃない。

 プレゼント交換する仲なんだから

 私にはなかったけどね。



私今日誕生日なんだけど・・・

んなのドーデも

 良かったんだよねー。」








 「・・何でそんな事言うんだよ。」

    

「龍祐、和花さんの事好きなんで

しょう。

私にはなかったプレゼントは、

和花さんに はちゃんと、

ちゃーんと用意してた

もんね。」


「💦なんで知ってるんだよ。」



「いやいや責めてないよ。

好きな人に、自分で選んだ

プレゼントあげるのは自然な事だよ。

せめたりしない。

幸せになってね、私は龍祐が大好き

だったの。じゃあ、ね。」




「俺が好きで、愛してるのは、

羽奈だ! 

何度も言ってるだろう。

 プレゼントは、二人で選ぶんだ! 

羽奈が欲しい物がいいだろ。」



「いやいやプレゼントは贈る物だよ。

 もう、龍祐のプレゼントなんて

要らない。 

欲しくない!一生いらない。


今日、メチャクチャ疲れて

るんだよね!!


 寝るね。龍祐今まで有り難う、

じゃあ・・・ね。あ!!、龍祐、

合うは、別れの始めなりだよ。

会えて良かった、有り難う。

元気でね。」


それから龍祐を着拒にした。

「ああ、やっと終わった。

でも、もう泣かない!」

羽奈は初心者ながらオンライン

ゲームをしてストレス解消


知らない人と繋がれば悩みも話せ

たりする。




     


喋るだけしゃべって切れた。

しかも着拒になってる。

仕事処じゃない。

嫌な不安が押し寄せて来て落ち着か

無い。


引き止める秘書を押し倒し

挨拶もそこそこに飛ぶように

マンションに帰った。



羽奈は‥居なかった。




羽奈のものが何ひとつなかった。

歯ブラシ1本も無い。

朝はちゃんとあったんだ。

「羽奈ぁ~嘘だろう、羽奈ーッ」

バンバンとドアを開けて部屋を

探し回る。


ヤッパリ羽奈は、居ない。


こうなったら特別班を集結させる。

しかし

班の者は解散していた。




俺はどうしたんだ。

何処で間違えたんだ‼

一瞬で悟った。

ここ何日か羽奈は毎日泣いていた。

別れると決めていたのか?



それに反して和花はベッタリした

行動を取っていた。

気ずいていたが、あまり拘らなか

った。羽奈が笑っていたから。


そして父親が絡んでいる。

特別班を解散出来るのは父親だけだ。


俺はフラフラと書斎に行った。

あの龍の指輪に賭けようと思った


「お客さん

この男龍の指輪を持っていると

将来信じられない事が

ありますよ。

あなたを幸せにするでしょう

決して人には譲らず大事に

してくださいね。」

そうあの日北海道の地で白髪の

店主は、にこやかな顔をして

俺に手渡した。


しかし箱の中から80万と手紙が

出て来た。


大好きな龍祐へ

出ていくのは、仕方ないと思って。

だって、仕方ないの。


80万は指輪の代金

その代わり指輪は、もらって行くね。


和花さんと、CM取ってた時

ずっと見てた。


正直、嫉妬したよ。

ううん…違う

うらやましかった。


私の前を、腕からませ歩いてい

たよね。

自分の目で確認した。手、繋いで

いた。

私の入る隙はないなぁって

思ったら泣けちゃって

そうだよ泣いてたよ。

龍祐の言ったとおりだよ。


大企業を背負った男。

金太郎のように男らしくて優しい。

私はあなたの妻だと思う事を許して

思うだけで意図はありません。


大好き。


胸を詰まらせるような羽奈の

手紙はまだ続いていた。

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