第25話 どうにもならない想い

相場の家、羽奈の実家では鯛より

出世魚のブリを祝事に使う。


だからせっかく、一匹丸々買って

きたのに、こんな事になるなんて

(´Д` )なんてこったい。


羽奈が料理を並べ終わる頃、

龍祐は帰ってきた。


「おっ‼ ブりかぁ! うっまそ。」


何かいい事あったのか、龍祐は、

ご機嫌でやって来た。


スーツを脱ぎながらフフンフフン

鼻歌歌いながら風呂、に向かった

羽奈は、そんな龍祐に後ろから

抱きついて聞いた。


「龍祐は 誰が好き?」


すると

「普通わかるだろ。

いちいちめんどくさい。

今日は、疲れてるの‼

勘弁してよ羽奈。」

 

「チツ」 

羽奈の舌打ちなんか何の

意味もないとばかり

フフンフフン。


風呂から上がるとビールを

ゴクゴクと煽り、ぶりの刺し身に、

パクつく龍祐に聞いてみる。


「明日はどこで仕事?」


     「何で?」パクパク


サッカーのテレビ放送を見ながら

龍祐は羽奈をチラ見した。


 「いいじゃん。で、ドコ?」

羽奈もブリに手を伸ばしながら聞いた。


      「普通に会社。」

「会社だよね!!

ふ〜ん。ねえねえ、龍祐         ダ ッコして。」

羽奈は立ち上がり龍祐の上に座ろう

とした。


「ハア今?!」


「いいじゃんいいじゃん

スキンシップダヨねっ、ねっ‼❤」


「子どもかよ。

無理無理無理、

勘弁してくれよ。

飯食ってんだし、第一こんなん

飯の時する事じゃないだろ!

みっともない

疲れてるし飯ぐらいゆっくり

食べさせてくれよ

寝るときな!! 」

と冷たくあしらわれてしまった。


「・・・分かったゴメン‼️」

羽奈は龍祐からゆっくり離れた。


CM撮影って教えてくれないんだ。

龍祐の口から和花の話は出ない。


疲れてるのかサッサと寝てしまった。

食器を片付けながら

最近少し冷たくなった

龍祐の気持ちが離れて行くのを

肌で感じる。


マタニティブルーなんだろうか?

ダッコは私の為じゃないんですよ。

子供に少しでも龍祐を感じても

らいたい気持。



龍祐の父親は、結婚するのは

大大反対らしいし


龍祐は大龍家の跡取りだし!


仕方ないのかなぁ

会社デカいし龍祐は、会社を継ぐ

訳だし、愛人になるのはぜ━━━っ対ヤダネ‼

羽奈にもボロボロだがプライドも

ある。



今日の龍祐の父親の話だと

もう、別れろと言わんばかり。


身分違いなんて明治、昭和と

思ってた。

考えたら・・・そうだよね。



あんな大きな会社の跡取りだもん。

親が心配する娘より

父親同士が親友の方が仕事も家庭も

上手くいくよね。


嫁、姑、舅と仲が悪いなら

苦労の始まり。

そのまま結婚しても、正直苦労しそう。


嫁VS舅ってか‼


間に入る龍祐も苦労するし

嫁の私も苦労する。


嫁舅なんて珍しく無い‼話だけど

毎日いがみ合うのもヤだなぁ


最終的には

「お前を貰うはずじゃなかった

龍祐には和花と言う許嫁がいたのに

お前が妊娠したばかりに

龍祐も嫌々ながら仕方なく

嫁にしたんだ‼」

な~んて言うに決まってる。


ヤッパ妊娠は、話さないで置こう。

密かにDNA貰って自立‼自立‼

龍祐も無理やり結婚するのは

嫌だろう。


私が親だよ。

母親だけだけどゴメンね。

まだペッタンコのお腹を撫でながら

「シングルマザーでも頑張って

育てるぞ!」

羽奈は強く決心した。


勿論私も、お情けで結婚してもらう

って絶対幸せじゃないよ。

知らないでいい事は

龍祐も知らないがいい。


最近帰りの遅い日も増えて

朝帰りもしばしば

気にしないようにしていたけど

ヤッパリ、疑いの芽は消えない。


それに一緒に住んでいるけど

まだ同棲してるだけ

彼の父親は、それも気に要らない

様だし!


その日から食費は、折半

龍祐も余り気にしないようになった

のか軽く了解した。


そうだそうだ彼に甘える癖は直し

たがいい。

もう、1人じゃないんですよ。

甘えてたら子供は育た無い‼


気合いダーツ‼ 気合いダーツ‼

しっかりする。お母ちゃんになる

んだもん。


龍祐に嫌がられながらも背中に

抱きついて寝た。嫌がられようが、

嫌われようが

もう、どうでもいいの。

子供に龍祐を感じて欲しいだけ。

龍祐がまんしろ‼

5分だけでいいから

羽奈は、ペッタ~ベタベタ


《《ん﹏疲れてるって言ってんだろ

いい加減にしろ‼💢💢》》


ドスの効いた声に少しビビりながら

パパパと離れる。\=͟͟͞͞(꒪ᗜ꒪ )/ヒエ~


毛布を被ってビビっていると


「ゴメン羽奈、疲れてて・・・💦」

でたでたでた中途半端な優しい

言い訳!


「いーの‼私こそゴメン。」


もう龍祐には近付かないと決心

龍祐も嫌なんだろうなぁ

子供達には龍祐の怒鳴り声なんて

聞かせたく無い!


龍祐の心臓の音目的なのに

ガツンと叱られてしまった。

次の日も普通に出勒する龍祐を

見送った。


もうあの胸は私のモノじゃない

って龍祐からのアプローチか!

なるほどね。


いってきます、のキスも無く

バツ悪そうに出て行った。


羽奈も上司に今月で辞める事を伝え

出産に向けて準備を始めた。


預金も二、三年は暮らせる。

今まで貯めたお金がある。

住む場所も食費も、光熱費も

全部龍祐が負担してくれていた。


だから羽奈の給料は丸々

預金出来ていた。


この町を出て隣の県に移る

出ていく日にちは、彼のご両親と

話し会う。


そのためにも今日は行かなくては

そう昨日秘書さんから撮影の日

お待ちしておりますと電話があった。


初めて向かった大龍本社は凄く

立派なデカい会社だった。


金目当てと思われても仕方ない。


受付にいくと、秘書の方が居て、


「羽奈様ですか?」

名前を言われ案内してくれた。


カメラもたくさん回っていて、

まさに社内スタジオだった。


大龍の出す新店のスウィーツの店。


彼氏が彼女と戯れたあとケーキで

御茶をするとゆうシナリオだった。


龍祐は顔は写さないみたいで

じゃれてる感じは自然だった。


『なるほどね。』


和花の頭を抱いたりキスしょうと

ギリギリで止めたり、

スウィーツを二人で食べたり

ちょっとチョコレートを舐める唇は

艶めかしい。


CMだけど龍祐の魅力がフルに

出ていた。


『龍祐のお父さんの言う通り

かもしれない。

2人は愛し合う仲なのかな

確かに仲がよすぎる。』


カメラが止まり終わったようだ、


なのに二人はまだじゃれていた。

和花にカーデイガンをはおわせると

肩を抱きながら大きな声で

龍祐が言った。


「大井之屋で打ち上げしましょう。

 6時集合。」

 

パチパチと歓声が上がり二人は

エレベーターで消えて行った。


「羽奈さん、」

後ろから声がした。


「見たでしょう。

昔から仲が良すぎるんですよ。

貴方みたいに昨日今日の仲じゃ

ありませんよ。」


「・・・そうみたいですね

龍祐のお父様

嫌味はいいです。

見て分かりました。」


・・・お父様の言われたとおりに        ‥します。」


龍祐の父親は、苦笑いを浮かべ

「話をつけましょう。」


そうゆうと会議室に、案内

された。椅子に座ると

秘書の方が、分厚い封筒を出して来た。


ビックリして

   「なんでしょうか?」


彼の父親は、微笑みながら

「失礼かと思いましたが

 あなたの欲しいモノです。」



封筒を開けて羽奈はビックリした。


五百万?il||li (OдO`) il||li


「何で? いりません。」


  「足りませんか?、では

   もう

   五百万用意します。

   手切れ金です。」


秘書さんは席を立とうとした、

慌てて


「お金はいりません。

ただクリスマスまで

 待って下さい。」


 それから蘢祐さんをクリスマス

の日そのまま出張させて

・・・下さい


 そうしてもらえ・・・たら 

 そうしてもらえたら‥

 その時出て行きます‥から。」



「あんなに仲が良くて、お父様の

仰ることも納得しました。


 もし・・・彼が、私を捜す‥いえ


 あんなに可愛らしい彼女がいる

なら不要と思いますが・・・

 彼にこのお金を使ってください。


 彼の為に使って下さい。

 私には必要ありません。


 どこの誰とも分からない女が出て

来たら親として心配されて

当然です。

ご心配かけて申し訳ありません。」


彼の父親は納得出来ず目を瞑って

何か考えていた。

そして深いため息を吐くと目を開き

羽奈を脅す口調で言った。


「受け取って下さい。そうしないと

 安心出来ない。」


「安心して下さい。

 約束は約束です。

あなたが信用するか

 しないかは関係ない。

 けどっ、いらないモノはいりま

せん。

アンタの金なんか💢💢

いらないってんの‼

バカにすんな‼


あなたが私を必要としないのと

同じなのでは‥

どこの馬の骨か分からない女です

ですが、龍祐を育てた親を

困らせる程落ちた女と思われ

たくはありません。」



( ˘•ω•˘ )う~む‼


 

「そうですか、それは悪かった。

 しかし、龍祐の前に

 現れ無い保証は無いだろう。」


「では、私に五百万の代わりに、

お父様のその胸を飾ってる

ハンカチをください。

 自分への戒めの為に‥。」


「これを・・・?」


不振な顔をしながらもハンカチを

差し出した


「もし、彼に会いたいとか

思った時今日の事を思い出して

踏ん張ります。

貴方の嫌味と一緒に!」


「呆れたお嬢さんだ

金は本当に要らないのか。」


彼の父親は呆れながら二度聞いてきた。

羽奈は深く頷くと、


「御縁が‥なかっただけです。

龍祐さんとも、あなたとも


それにアンタとは気が合わないし


もう遭わないためにハンカチを

ぐださい!

このハンカチを見て今日の事を

思い出して強くなります。

アンタの💰、金💰、金💰

は、お腹いっぱい‼



別にお金が欲しくて彼と居た訳で

はありません。


 ただ、大事な人と思ったから…

 でも、お父様が仰る通りあの2人

を引き 離すのは酷だと思いました。

 幸せになって欲しいです。」



「 さっき話した事

宜しく御願いします。

クリスマスまではこのままで

龍祐の出張の時に出ていきます。」


ハンカチを掴み

羽奈はハンカチのお礼を言って

会社を出た。


しかし見たくない物をみてしまう。


羽奈の少し前を歩く仲の良い

カップルは朝着ていたスーツ

では無く



グレーのパンツとワインカラーの

セーターにダウンジャケットを着て、彼女も色を合わせたようなグレーのパンツとモアモアな可愛らしい

ブラウン系のコートを着て腕を

組み前を歩いていた。


ハッとした羽奈はクルリと背を向け

反対に歩き出した。


これぐらいで泣いてたまるか!!

これが私達の距離だ!


近いのに、遠い。背中合わせの距離!


50㍍ぐらい歩いた頃

携帯が震えた。


「もしもし羽奈一ヾ´∀`」


「は・・・い‥龍祐何?」


「今日!飯いらないから。

少し遅くなるか も。」


上機嫌な龍祐の声に涙が急に、

飛び出てきて止まらなくなった。


気ずかれたらいけないと思って

羽奈のチュウリップ柄の

ハンカチで、口を塞いだ


「羽奈?どうした?」



 「‥   は? 」


「どうした?」


   

「何が?」 

      

    

「大丈夫か?」


   

「はぁ大丈夫に決まってるし」       


「今どこ?」


 「家だよっ今日も遅いん?。」

     

強気な羽奈

こんな羽奈は、何かを我慢してる

はずだ。  

ズビッ、ズビッ、ズビッと鼻を

啜る音がする

しかも遮断機の音も聞こえる。

家じゃなぃ。

しかも泣いてるみたいに聞こえる。


「なんかあったのか?」


「アハッ、は?なにが?

なんも無いけど 」   


「本当か、泣いてんじゃないか?」



「違うよ。

優しくするとこ見ると浮気か?‼

さては、可愛い子とご飯とか?

腕組んで歩いてるとか?」



「え!、スタッフ皆いるぞ!!」!?

龍祐は慌てて回りを見る

羽奈らしき姿は無い‼️

しかし羽奈の言う通り和花がシッカリ腕をつかんでいる。


     「知ってるってば、」


うでくんで、歩いてたじゃん。

≪≪嘘つくな!! もういいのっ!!≫≫

と、羽奈は、叫びたかった。

しかし叫んで何になる龍祐の

心変わりは見ての通り

見苦しいだけだ。


龍祐、昨日はあんなにイジワルだったのに急に優しくすンな‼。


そんな事しないでイジワルでいてよ

そしたら嫌いになれるかも

貴方のこと

嫌いになるのが一番楽になるのに‼


龍祐も私も回りも幸せになれば

文句なし!


お互いそれぞれ会うこともなく・・

別れてやるよ。


今日も羽奈は、ダブルベッドで

一人で眠りについた。

一人で寝るのは慣れないと

龍祐の暖かさは今は邪魔なだけだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る