第10話 自信を与える女と、支える女

陽太はあの頃、黒い宝石を、探して

駅前を、毎日ウロウロしていた。


駅から少し離れた所にお地蔵様が

並んでいた。

陽太はピアスを、売りさばいた

金があったから

諭吉さんを3枚上げて

お詣りしょうとしたら



お爺さんが手を止めて、

「この、注意書きよまなあぁ

いかんがあぁ。

一体選んでお願いせなあぁ

いかんがぁぁ。」


「ええっ‼

そうなんですか?

知らんかったな‼

ありがとうございます。」


陽太は迷わず、黄色お地蔵様にお願いした。

「あの子に合わせてください。

 大事にしますから。

ずっと探していますが、未だ

会えません。」


「勉強マジメにやれよぉぉぉ」

3歳位の女の子の声がした。

俺は回りを、見たが誰も居ない。

お爺さんは聞こえなかったと言った。


お地蔵様の掃除を、手伝ったら

お爺さんは

「会えるといいのお~。」

 と、ハゲた頭を撫でると、

 ニコニコしながら言った。


「ここの地蔵様は、嘘つかんでな!

楽しみに 勉強しなさいよ。」


(えっ、聞こえなかったんじゃ

ないの?聞こえてるっぽくないか?

しかも、お願い事が聞こえてるし‥)


そんな四年半前を!、思い出し 

また行ってみるかと思った

何時もフッと思い出すのは

11月のあの日の雨上がりの午後

彼女が俺を叱り飛ばした時の

ムカついた目をした黒い瞳。


「会いたい。」


その想いはつのるばかりだった。


ドイツ語の本を読んでいると大和と

拓海がやって来た。


チョコレートブラウンの髪を

巻いたような天然パーマの大和は

目がキツイわりには優しく、彫り

が深いイケメン!


拓海はキャラメルブラウンの、

ゆるふぁパーマをかけた日本男子、

目はキリリと細長く笑うと目がへ 

の字になる。そんなギャップが

人気があった。



その二人に拘束されて、可愛らし

い孑がいると噂の薬学に脇を抱え

られ連れて行かれた。


「ま、目の保養か‼」

陽太は気乗りがしなかった!

が行ってみるかと渋々重い腰を

あげた。


「全く、会えもしない宝石探し

してんじゃないよ。

何年探してンだよ!」

だそうな。



薬学部の女の子達がキャキャー

言ったがまあ、昔からこんなもんだ。

俺達には当たり前だ。



窓際から覗くと、ウワッ‼

目を疑った。探していた俺の宝石

が・・・・


弁当を食っていた。

何人かの、女の子と楽しそうに…



    「見つけた。」

    

俺の様子を見ていた二人が

びっくり仰天‼

「ま、まさか?

3百万?の噂のお前の宝石か?」

と、二人は小声で叫びながら

彼女を見た。


「あの子…相葉羽奈だぞ

可愛いと騒がれていて

彼氏がいるからと事ごとく

男は振られてるって話の・・・


   それが、黒い宝石か?」


「三百万?ってなんだ?」


「黒い瞳の値段だよ。

お前が言ったんじゃないのか?

有名な話だぞ!

御宮司陽太の黒い宝石‼」

大和がボーッとしたまま話を

ふって来る。



    「噂では三百万だ。」

          ぁゎゎ

拓海も頷いた。



「安っ……10億‥10億の瞳だ。」

陽太は噂を打ち消す様に値段を

張り上げる。



「高くね?」

と言いながら二人は手をだした。

「懸賞金クレ」✋


そんな冗談も耳にはいらす

俺は、まさかの再会に唖然として

動けなかっ・・・た。

あんなボロボロの俺を更生させ

御宮司グループを建て直したのは

彼女だ。


母親も元気になり女社長に

返り咲き業績UP何十億、

婿養子の父親も病院業務に

真面目になって何億!。


彼女のお陰だ、俺をマトモな人間

に戻してくれたから

俺の家の歯車が回りだした。


俺の様子を見ていた大和と拓海は

ずっと黙っていたが、


「なるほどね(笑)

それなら妥当な値段だな‼」


「一応帰って、作戦錬ろう。」


俺はまた拘束され、そのまま連れ

帰られた。


名前は相場羽奈18歳、

興信所を使い、全て調べ上げた。

羽奈には,とんでもない彼氏がいた。


宝生財閥系の御曹司 宝生、奏

しかも奏には羽奈の他に女がいる。



   倉本ー花 35歳




チエリア化粧品勤務、笑わせる


あの御曹司狙いのー花だ。


金使いが荒く、男受けがいい。

化粧をいつも濃くしていて素顔を見た奴らはいない。


女の毒を持っていて、のめり込む

まで待ち、のめり込んだが最後

気づかないうちに呑まれてしまう。

話上手で床上手


この間まで俺にモーシヨンかけて

来ていた。

俺が引っかからないと、諦めたか?

金と、色気の色魔め!! 

業界では有名な男好き

あんな女に捕まればケツの毛

一本残らないと有名な悪女。



奏の奴、羽奈を手に入れてるのに

なぜ?いや俺としては好都合。


この報告書を見る限り、羽奈との

仲はもう壊れかけてるだろう。


一花め‼ あの手この手で奏を

手玉に取れたんだろう。

あの女にかかれば奏なんて

赤子の手を捻るより簡単‼


あんな、屑みたいな女の本性が

見破れないとは、«フッ»»  

宝生奏よ馬鹿な女好きだな

もっとマトモな女狙えよ!


よりによって一花カヨ‼アハハハハ

コリャ大変だワ

ある意味、お似合いじゃないか?




    「ホントバカな奴等」


       



金曜日の夕方の便で北海道に入った。


一花と、手を絡め歩く北海道は

朝夕はもうすっかり寒く、繋いだ手

にも力が入る。


カニ三昧の夕飯を食べ、買い物を

楽しんでいると、

宝石店が目に入った。


「ウワッ行きたい行きたい‼️」


ー花に誘われ惹かれる様に

店に入る、ズラリと並んだ指輪

を見た一花の目は爛々。


そこにはプラチナの金の龍がいた。

何と俺の持つている指輪と同じ

俺の龍が偽物なら本物はこの

龍だろう。

ふとそんな気持ちが込み上げた。


何故か、絶対この龍は買わないと

いけない気がして手に取った俺に

一花は嫌な顔を向けてきた。


「一個持ってるじゃない。

ホラーァママちゃんのくれた奴

あるじゃん

同じの要らなくない。

それより私達のペアリング

欲しい~♪♥」


そう一花は端暮と幸寿郎の話を

俺から聞いて俺達は、羽奈の

あだ名をママちゃんと呼んでいた。



俺が悩んでいると

店主が現れ、


「その指輪は、

売約済みなんですよ。

あなたにはお売り出来ません。

もう一つの女龍の指輪をある女性に

お売りしてあるので、その指輪は

番なので収まる所が決まってまして

申し訳 ありません。」


あ、そうだ、


俺の指輪は羽奈の持ってる指輪と

ペアだった事を思い出した。



奏は残念そうに指輪を置いた。



「若い女の子ですけどね今年の

クリスマスに購入になってましてね。

彼氏へのプレゼントかな?

24日には本州へ行く予定なんですよ。


可愛らしい瞳で頼まれましたから、

断れませんでしたよ。

きっと彼女ならこの指輪を

大事にしてくれると思いますよ。」



  「・・・大事に?」


そうだ・・・

ー花が嫌がるから、羽奈のくれた

指輪はテレビの上に置きっぱだった

事を思い出した。

あの指輪は・・・

それ以来放ったらかしだ・・

まだ彼処にあるのかさえ分からない。



一度、ー花をマンションに入れた

日のことだった。


「その指輪、睨まれているみたいで

 なんかやだなぁ。」


そう言われれば、そんな気がして

外してしまっていたまんまだ。



一花が隣のシヨーケースの指輪を

見て飛びついた。


「コレがいい。」


輝く笑顔で俺を見た。

ー花と お揃いの80万の指輪を買い

買い物三昧‼

またショップを回りホテルに帰った。



ー花と、熱い夜を過ごし、次の日も

観光をした。



「ママちゃんにお土産買わないの?

バレ無いようにしないと

後々まずくなるの嫌だなぁ~」


と、一花が言うから2千円の

美味そうなロールケーキを

空港の売店で買った。


俺はのマンションへ帰り一花は

一花のマンションに帰った。

羽奈への土産は、

そのまま紙袋ごと羽奈に手渡した。

ケチの羽奈にはこれでも贅沢と

叱られそうだ…


「わあ、北海道いいなぁ

私も旅行いきた━━━い‼

ね、ね、カニ食べた?」



     「まあな。^^;」

             

    

「おいしかった?」


      「まあな。」

            


「私🦀大好物なんだー

カニ食べた~い。」


「えっ、食べたいの?贅沢とか、

言わないの か?」


「カニは別ダヨ~」


「そっか・・・

なら今度旅行いく?」



「いく、いく、いきた━━━━い

約束ダヨ」


俺はそれから風呂に入ったが

羽奈があんなに旅行に行きたがる

とは思わなかった。

風呂から上がったら羽奈が

居なかった。


「用事が出来た。

旅行は、キャンセル‼」



とだけ書き置きがあったが気にし

なかった。



羽奈の気まぐれだꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)アハハ

お金が勿体無くなったんだろうな‼

ケチは治らない!


奏は、腹もいっぱいだったし

アレコレ羽奈に聞かれるのは

面倒で居なくなってくれて

ホッとした。


その日羽奈は帰って来なかったが

奏は気にした様子もなかった。


次の日

父親から会社に、呼び出され


会社に行った。

山本さんも同席して、

金使いが荒いと親父と山本さんに

叱られた。


ー花の事は、親父バレしていた。

金使いの荒さから誰と何に使った

のか調べられていた。



羽奈とは別れたのか?と聞かれ


「別れるつもりはない!」


と言ったら


「すぐ、一花と、別れなさい。」

と、言われた。




父親はわりと人を見る目がある。

この時でさえ、まだ俺は

一花に執着していた。俺に自信

を与えてくれる女、羽奈は俺を

支えてくれる女。



どっちかに動けと、言われても

無理だ。


父親は羽奈を気にいっている。


羽奈は、両親思いのきっと楽しい

家庭を作ってくれる。



一花は家庭向きじゃない。



金遣いが荒く、遊びたがる。きっと

真面目で堅物の親父と、

うまくいく理由がない。



しかし今の俺を癒やしてくれて

いたのは、確かに一花だった。


本気じゃない!長い人生、

結婚前の遊び

結婚したら本当に羽奈一筋で生

きていく、他の女とは遊べない。


だから、だから少しぐらいの息抜き

くらい罰を受ける程じゃない。

結婚したら羽奈を幸せにする

他の女とは遊ばない!

だから今青春を謳歌したい

沢山遊んで後悔しない生活を送る


若いのだから何をやっても

良いとおもう。

法律を破らない遊びは後の

肥やしになる、色んな経験は

今じゃないと出来ない気がするんだ‼



今、俺が勝手に生きて何が悪い。

俺の人生なんだから・・・。

そこ迄、羽奈に束縛される

意味なんてない‼


羽奈の節約生活に付き合わされて

俺まで華の貧乏生活!


我慢我慢の生活はもう

窮屈なんだよ。



      


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