第32話 疑惑
盗賊におそわれた興奮も手伝って、ドリーへの疑惑を抱いたままでは、うまく眠ることができなかった。
はたして、盗賊をよこしたのはドリーの差し金なのか、そしてドリーはミミーの正体に気づいてしまったのか? なんのためにドレスをくれたのか。考えれば考えるほどわからなくなって、もやもやのすべてをアクセサリー作りに没頭した。
こうなったら少しでも早く、魔王城を奪還して、魔族を撃退するしかないっ!!
でも、いやな噂は耳にしている。実は国王の体が魔族に乗っ取られているとか、そんな話を。だとしたら、おれたちが攻撃しても大丈夫なのか? だって、国王だとしたら、ミミーのお祖父さんってことになるんだろう?
頭の悪いおれにでも、さすがにミミーがお姫様だってことぐらい気がついていたさ。だけど、本人が言いたがらないんだから、そこに触れるべきじゃないだろう? ミミーのお祖父さんが国王だとして、ご両親は無事なのだろうか?
それにしてもさらに謎多き存在なのが、大賢者と呼ばれているミミーの連れのイヌワシのワッシャンなんだよな。ワッシャンはふつうのイヌワシより少し大きいし、おれを持ち上げて飛ぶことができるくらい力持ちだ。口からビームも出るし、羽を広げれば、女神様があらわれる。そのからくりは今でもわからない。
問題は、今のところ大賢者らしいことはそんなにないってところなんだが、もしかしてワッシャン、魔法でイヌワシに姿を変えられたとかじゃないよな? そのせいで、力を出しきれずにいる、とか。
それに、ワッシャンのミミーへの愛情がなんというか、おれとおなじように保護者的な立場なのも気になる。
うん。ワッシャン、まだ見ぬ力を秘めているのなら、いずれ目にすることもできるだろう。
あとは、女神様の出現条件が変則的なのも気になるところかな。なんとなく精神的にピンチになるとあらわれるような気もするんだが、一概にそうとも言い切れない。
そういや、女神様もミミーのことを守れって力を込めて言っていたっけな。
あとはあれだな。このまま寝落ちしたところで、明日の朝はまた、四十肩に悩まされるのだろうなと思うと、ちぃとばかし気が思いが。まぁ、なるようになれってんだ。
つづく
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