第四話 蘭と彩芽
同時刻、二◯七号室へ蘭は帰ってきた。
部屋にはルームメイトが先に帰っていた。長い三つ編みの少女――
「お疲れ」と彩芽は言う。「どう? よさそうな子はいた?」
「えゝ。みなさん――可愛らしいですね。」
彩芽の前に蘭は坐る。
「一つ――占っていたゞけますか?」
「そうくると思った。」
彩芽は黒い筒を取り出す。
彩芽は精神を集中させた。
四十九本の筮竹を両手で二分する。続いて、左手の筮竹を八本ずつ取り除いていった。すると、八本かそれ以下の筮竹が最後に残る。以上の手順を六回繰り返し、手元の紙に卦を書き出した。
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彩芽は難しい顔となる。
「
「それで――意味は?」
「大人しくしていなさい――ということ。」
蘭は黙り込む。
「まず、沢雷随――『随』は『大人しく従う』という意味ね。卦辞にはこうある――『
「ふん、ふん。」
「
「神様を――祀るのですか?」
「王様は――ね。王様が神様を祀るのには、民衆を安心させる意味があったの。王様も民心に従うのが『随』。要は、相手が何を望んでいるか考えて静かに行動しなさいと。」
「なるほど。」
ただ――と彩芽は言う。
「天雷无妄――これは、天から雷が落ちてくるイメージかしら。『无妄』は『嘘も迷いもない』ということ。卦辞に曰く、『
「ある意味で当たり前のことですよね。」
「その当たり前のことが難しい卦なの。」
彩芽は溜息をつく。
「爻辞に曰く、『无妄にして行けば
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