第19話⁂賢伍とメイ!⁂
2003年14歳のメイは賢伍に小遣いの足しにでもと〔ハッピ—ハウス〕でのアルバイトを持ちかけられます。
フィリピンではこんなスラム街の人間にまともな働き口などありません。
その時にまだ14歳ながら頭の良いメイはどんな事をしても大学に進学したかったので学費を貯める目的もあり喜んでその話に飛び付いたのです。
15歳の時に始めて〔ハッピ—ハウス〕に下見に訪れた時の事です。
その時賢伍はまだ47歳。
理事長室に通されたメイは子供ながらに何か別世界の今までに会った事も無い知的で優雅な品位漂う賢伍に言葉を失い只々圧倒されています。
更にはすらりとした高身長に加えミケランジェロの彫刻ダビデ像のような端正な渋みを増した男っぷりに………。♡♡♡
あの頃すでにメイの心の隅に賢伍がいたのです。
最近はメイの仕事ぶりを高く評価して賢伍の右腕として欠かせない存在になって来ているのです。
一日のほとんどをメイと過ごす事もザラです。
全てまかせっきりと言っても過言ではありません。
メイにはほのかな期待に似た自信が湧いて来ているのです。
{子供達との事は只の欲望のはけ口、それを証拠に初潮を迎えた子は今まで全員お払い箱になって就職させられていた。でも私だけはいつも変わらず傍から離さない。きっと?}
幾ら生活面では何不自由無いかもしれませんが、それだけでは余りにも虚しい。
もう年齢的にも決して若くない!
メイはある日等々意を決して賢伍に打ち明けたのです。
「あの~………私は?あの~……社長の事が………ず~っと前からスッ好きです。プラトニックでもいいです。ただいつまでも公私共にお側に居させてください」
「結婚て事か~?アッハハハハハハ~!まさかこんな老いぼれに君のような若い子がアッハハハ一時の気の迷いだよ~?自分の人生を大切にしなさい!」
「私は年の差なんて全然関係ありません。社長……?誰か好きな人でも?」
「イッいや~?そんなものはおらん!」
その同様ぶりに誰か気になる本命の相手がいると直感したメイは「正直に言って下さい。私が社長をあきらめる為にも全てを話して下さい。こんな気持ちのままじゃ蛇の生殺しじゃないですか?」
しばらくの沈黙の後、賢伍もこのままだとメイに申し訳ないと思い「実は……?私は……まだ江梨菜の・・・」
「江梨菜は娘じゃないですか~?まさか江梨菜までオモチャにしていたのですか?私はてっきり子供が授からないから貰われて行ったとばかり?でも江梨菜はもうすぐ結婚するしどうにもならないじゃないですか?」
「それでも~?」
社長の江梨菜に対する思いの強さの余りの大きさに「社長最低!ワァ~~~~ン😭」
メイは一秒たりともこの空間に居たくない賢伍の愛した江梨菜の残り香のする場所からどこかに消えたい!逃げ出したい!
社長宅を泣きながら逃げ出したのです。
そしてそれからしばらくののち江梨菜が社長の養女になった事を知ったメイは
{今まで私を傍から片時もも離さずこき使っておきながら、ましてや私の気持ちを知っていながらこのタイミングで江梨菜を養女ってどういう事?よくも私の気持ちを弄んでくれたわね!許せない!人を馬鹿にして!}
メイは怒り狂っています。
とんびに油揚げとはこの事。
な~んにも努力もしないのにただの美貌と魅力だけで美味しい所を皆かっさらって行く姉が到底許せません。
『江梨菜なんて死ねばいい!』姉が妬ましくて!妬ましくて!
そんな時を同じくして2018年晩春。
もう10年も経つのに仁の事故死について刑事の田中が未だに嗅ぎまわっています。
何か事件性があるのか?立件出来ない不備があったのか?
そして2019年夏真っ盛りの8月上旬とんでもない貧乏くじを引いたメイが無残な姿で発見されたのです。
一体誰が?
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