第9話⁂継父母⁂
妻の美登里はやっと人並みの母親になれた、たとえそれが実子ではなくてもやっと母親になれた喜びで有頂天になっています。
ス-プの冷めない距離に有る邸宅に住む父育三郎と母栄子も「まだ若いのになにも養女を迎えなくても…………?」とごねています。
それでも「な~んて可愛いお孫さんですの~?」ご近所様からの余りの賛辞に育三郎と栄子は鼻高々。
実はジャスミンは「日本人っぽくないね?」とは言われますが?「外国人だから!」といじめられたことは一度もありません。
それは父親が日本人だからなのです。
どういう事かと申しますと?父親山本明は当時大手ゼネコン課長で1980年代フィリピンに単身赴任中にメイドのソフィアに手を出しジャスミンを身ごもったのです。
その時既に結婚していた明はソフィアに迫られて認知をしていたのです。
一方のソフィアも結婚していてその時既に息子が2人貧乏ながらも幸せな毎日を送っていたのですが、明が転勤で日本に帰ってしまったのです。
1990年前半バブル崩壊で明の会社は窮地に立たされています。
経済的に豊かだった日本人の後ろ盾もあり何とか生活出来ていたソフィア家族は一機に窮地に追い込まれます。
仕送りが途絶えてソフィアも酒浸りの甲斐署無し夫で子沢山の為に働きづめです。
苦労がたたり寝たきり状態になってしまったのです。。
そんな時にお金持ち夫婦の日本人の養女にとの話が舞い込み快諾したのです。
それは月々の送金目当てです。
そして夫婦は養子縁組の事で日夜話し合っています。
{あんな悲惨なスラムの親族達が回りに付いていては、我々の死後に会社がとんでもない事になるのでは?社員達も路頭に迷わせる訳にも行かない!}
考えぬいた挙句に継父継母の形を取ったのです。
名前は日本名で田所江梨菜と改名して。
そんな夢のような第一歩を踏み出した江梨菜ですが???
悲劇の始まりが?
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