第9話 森の覇者
新事実発覚!
それは『射撃』のスキルが使えなかった。
原因は色々考えた。恐らくそうだと思われるものは……弾丸が別にいる、ということだ。
根拠はいくつかある。
まず腕の銃に弾を込めると思われる穴があること。
進化して手に入れた『金属変形』のスキル。
恐らく、『金属変形』で弾丸を作り、それを『格納庫』のスキルで保管しておいて、戦う時には腕に弾を込めて戦うのだろう。
というわけで現在俺は元々いた魔道機械の残骸の山へ向かっている。
あのカエルもどきが怖いが、まあ、覚えている限りのステータスならレベル上げながら向かえば逃げることくらいならできるだろう。
スキルレベルを上げるために『気配感知』のスキルは常時発動しながら歩いていると、木々をなぎ倒す音と聞いたことのある咆哮が聞こえてきた。
……うん。げ、元気そうだね。
ていうかあれからずっと暴れてるのか? 執念深けぇ!
も、物陰から見てみようかな?
別個体かもしれないし。
そういうわけで、足音を立てないように気をつけながら、音のする方へ向かっていった。
しばらく歩くと見覚えのある姿が見えてきた。木の陰に隠れながらステータスを確認する。
*******************
名前:
種族名:メタルイーター
状態:憤怒(大)
性別:オス
LV:12/34
HP:142/142
MP:14/44
攻撃:71
防御:54
魔攻:22
魔防:54
敏捷:12
ランク:D
特性スキル:
『竜の鱗:LV2』
耐性スキル:
『痛覚耐性:LV3』『物理耐性:LV1』
攻撃スキル:
『ドラゴンブレス:LV1』『ドラゴンクロー:LV3』『ドラゴンテイル:LV2』『噛み砕く:LV4』『転がる:LV1』『酸液:LV1』『咆哮:LV3』
回復スキル:
『自己再生:LV2』
称号:
『大喰らい』『マシンキラー』『執念深き者』
*******************
あ、あれ? べ、別個体かな?
そんなわけないよな〜。
なんかレベル上がってんだけど。
足の速さならマシンドールの最終レベル時点で上回ってたがそれ以外はまだまだだな。
ていうかこの種族足遅すぎね?
さて逃げ——ッ!
……はいそこ。
テンプレ通り、枝でも踏んだと思ったやつ。
怒らないから素直に名乗り出なさい。
そんなドジっ子みたいなことはしない。
俺が驚いのは1つの存在だ。
今まで『気配感知』で感じた気配で1番大きいのは目の前のメタルイーターだが、それの10倍以上の気配が俺の気配感知範囲内に入ったと感じた瞬間。
それは来た。
メタルイーターが暴れた結果、ちょっとした広間が出来ているわけだが、その広間と破壊されていない森の境目に立っていたそれは見た目だけならメタルイーターと同格に見えた。
メタルイーターと同等の体格で純白の毛皮、エメラルド色の瞳をした狼だ。
メタルイーターがその存在に俺に遅れて数瞬後に気づき、そちらに振り返り、咆哮を上げようとした瞬間……狼の姿が消えた。
そして、メタルイーターの後ろに現れたと思った瞬間、メタルイーターの首が落ちた。
素人目に見ても素晴らしく綺麗な切断面で首が落ちてから血が滝のように出るまで時間差があった。
な、なんだあいつ。
あのカエルもどきを一瞬で倒しやがった。
どんな化け物だ?
******************
名前:
種族名:シュトゥ・ウルフ
状態:通常
性別:オス
LV:83/110
HP:2536/2536
MP:2916/2946
攻撃:1473
防御:1220
魔攻:1484
魔防:1268
敏捷:1578
ランク:A
特性スキル:
『暗視:LVMAX』『人間言語:LVー』『気配感知:LV7』『HP自動回復:LV5』『MP自動回復:LV8』『魔力感知:LV8』『思考加速:LV5』
耐性スキル:
『物理耐性:LV5』『魔法耐性:LV8』『風属性無効:LVー』『全属性耐性:LV4』『状態異常耐性:LV5』
攻撃スキル:
『噛み砕く:LV5』『風刃:LVMAX』『風爪:LV9』『ウインドスフィア:LV6』『ウインドブレス:LV5』『咆哮:LV6』『首刈り:LV4』
回復スキル:
『自己再生:LV8』
通常スキル:
『瞬歩:LV7』『空歩:LV6』『縮地:LV6』『フライ:LV8』『人化:LVー』『念話:LVー』『風の外装:LV4』『眷属化:LV2』
称号
『災害』『竜殺し』『殺虫者』『長命者』『寂しがり屋』『森の覇者』『最終進化者』
*******************
あ、死んだ。
そう確信するほどのステータスだった。
ていうか強すぎね?
メタルイーターが霞むレベルで強いんだけど。
スキルの数がヤベェ。ステオール4桁。探知系スキル完備。耐性ガチガチ。攻撃スキルも豊富。
敢えて欠点を挙げるなら攻撃スキルが風属性に偏っていることだがそんなことが霞むくらい強過ぎる。
逃げることすらできないだろう。
というかあいつこっちに絶対気づいてるよな。
『気配感知』だけならまだしもこの『魔力感知』ってスキル。
魔力感知**************
自身の周囲の魔力の反応を感知する。スキルLVが上がる毎に精度と範囲が上がる。
******************
これってつまり機械系の反応も感知しちゃいますよね〜。
あ、こっち向いた。
草木に隠れて見にくいはずだが、俺はこの中では目立つ色をしているし、スキルもある。
逃げ切れるステータスではない。
\(^o^)/オワタ
私めの
“そこに居る者。姿を見せよ”
爽やかに第二の人生……いや機械生? いや生きてはいないよな。
まあ、とにかく死の覚悟を決めて終幕を迎えようとしていた俺の頭に言葉が流れ込んで来た。
こいつッ、直接脳内にッ。とノルマ的に考えつつ、どうするか悩む。
恐らくさっきステータスで見た『念話』のスキルだろう名前的に。
即座に殺さないということは話し合いの余地があるのか?
か細い希望に縋ってみますか。
そう思いつつ、俺は木の陰から姿を現わす。
“む、機械系の魔物か。どおりで『気配感知』のスキルには反応がないわけだ。……本題だがキサマは何者だ。先程までの思考を読む限り、ステータスを観れるようだが”
し、思考が読まれているだとッ!
“当然だ。こちらの思念のみを送っても意味があるまい。欠陥スキルではないか”
……思考読まないでいただけません?
“我の質問に答えたら考えてやろう。……答えによっては消すが”
怖ぇぇッ!
しょ、しょうがない包み隠さず全てを話すか。
でも長い話になるがそれでもいいか?
“ふむ。まあ、よかろう。まだ日は高い。時間は十二分にある”
ならば——と、俺は転生したことも含めて転生してからの生活を狼に話し始めた。
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