第53話 寝床の作成。愛の巣の作成? その5
言ってるうちに二個目が完成し、三個目も間もなくできた。咲子は捕獲罠と作成に使った蔓束の残りを手に、ちょっと川に仕かけてくると言い残して出て行った。
どのようにして罠を仕かけるか見てみたいと思ったが、残念ながらこちらの腰に抱きつくというよりかは、がっちりと組み付いて離れない美琴のせいで動けない。
しかも咲子がいなくなったのを良いことに、美琴はスカート越しに匂いを愉しむのをやめて、わたしのスカートをめくって自らの顔を埋没させんとしていた。
字面からもわかるように、色々とアウトである。
でも、興奮するよね。こういう変態行為。
むしろ変態行為だからこそ興奮する。非日常は、滾るのだ。
「ホーント、この娘ったら、リミット外しちゃってるね」
「タマちゃん、タマちゃん。オンナノコ、とってもいい匂い……」
「愉しむのは、ほどほどにね? サキ姉ちゃんはすぐに帰ってくるから」
「うん、うん……」
ショーツ越しに、恥丘部分をちゅっちゅと唇が軽く圧をかけてくる。
ややもなく、布地部分をかき分けて舌が。ぺろりと陰唇を。
ビクッ、と跳ねるわたしの身体。でも、それだけ。
「今はその『お愉しみ』はやらない。そうよね?」
「うん。味見しただけ……」
咲子もすぐに帰ってくるだろうし、ね。
どれほど経ったか。たぶん十分と経っていないと思う。
秘め事と書いて姫事と読むような行為である。
ここだけの話、露骨なメインディッシュよりも、こういうオードブル的行為の方が余程興奮する。満たぬ気持ち良さというか、もどかしさというか。
ああ、良きかな。ぐったりする。ただただ、オンナノコの匂いを嗅がれただけなのに。うわあ、身体が痺れてる。まるで酸素過多で過呼吸トリップしたみたい。
するりと美琴は上半身を起こし、わたしへと身を寄せてくる。健気だなと思う。可愛いなぁ。美琴を孕ませたいなぁ。でも、わたしにはちんちんないからなぁ。
顔と顔が近い。わたしは、ついばむように、美琴とキスを交わす。
そうして、仲の良い猫たちのように身体を重ね合う。
異世界に飛ばされた状況なのに、まるで警戒感も緊張感もない。
と、思うだろう。
でもこれが男女なら、種の保存の本能で、今頃どちらがどちらと
女の子同士。わたしたちだからこそ、この程度で済んでいるのだった。
繰り返して書いておく。これは、そういうものなのだと。
咲子が戻る頃には、わたしたちは居住まいを正すまではいかなくても、少なくとも彼女が出かける前程度には体勢を整えていた。すなわち膝枕的な姿にである。
それは仕事をしてくれている咲子への建前でもあった。その辺り、なんとなく伝わるのだろう、彼女はポンポンとわたしの肩を叩いて逆に労ってくれた。
腕時計を見ると、時刻は十七時近くになっていた。
九月になったとはいえ未だ日照時間は長く、夕刻の気配は微かだった。
これまで聞き慣れて意識もしていなかったが、耳を澄ますとセミがジワジワツクツクと求愛活動に余念がない。わが親友もその手の活動に余念がない。まあ、わたしも美琴のことは悪しからずというか、好いている。だからこそ受け入れられる。
それにしても、この洞穴は風がいい塩梅で吹いていて心地よい。
「あー。お尻に根が生える」
「寝るまでに竹で寝台を作るぞ。その上に、この檜の葉で作った緩衝材とレジャーシートをかぶせる。快適さが段違いになる。体力の維持と回復にも差が出よう」
「大きさはー?」
「やはり一人一台、足を延ばして寝られるのが理想だが」
咲子がちらりと美琴を見るのがわかった。
「そうだな……三人が川の字に寝るのが手間も資材も優しいだろう。なのでこのシートの大きさを基準に作る。余っている檜の葉をさらに加えればより快適になろう」
「じゃあ手伝うよ。指示してね」
「うむ、任せるがいい」
わたしは美琴の頭を撫でた。そうしてわたしから離れざるを得なくなって残念そうな美琴を背に、わたしは咲子と竹ベッドのいた部分の作成を始めた。
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