第33話 隠し砦の三少女 その9
契約の段には、召喚者は互いの異なる世界法則を捻じ曲げて認識するべく、視覚共用のために左右どちらかの目の視力を捧げるのがセオリーだった。
もっとも、これには抜け道があるのだがここでは語らない。
何事も、特に例外的な異常者はいるものなのだから。
「タマちゃん、大丈夫……?」
美琴が本気でこちらの様子を心配している。
対するわたしはまるで自慰行為の真っ最中のように気持ちが高ぶっていた。
身体が小刻みに震える。下腹が熱い。手で押さえた。
ぎゅっと絞り出すような快感に、一層、身体が打ち震えた。
わたしの中の、血の発現が強すぎるのだった。
「予想以上にヤバい。ちょっと、休憩、させて……ほしいかも。あはは……」
母はこの血のせいでティンダロスの王に呼ばれてしまった。あまりにも住人としての親和性を持ち過ぎていたためだった。
そして母は王の寵姫となり、われらが一族から去った。
そして娘のわたしも同じ素養を持つと判断され、宗家後継者候補から外された。
当然イヌガミも契約しない。宗家の判断は実に的確だった。
身体が、
わたしの意思を無視してまで、われらが王に抱かれたいと、懇願している。
「猟犬の目の使用は一族では標準なので、応用の視覚移動くらいまでならなんとか我慢できたけれど……本格的な猟犬の使役を間近にするとやっぱダメっぽい。色々とヤバいわ。この辺の機微は、さすがの宗家も想定してなかったんだろうなぁ……」
「身体、痛いの……?」
「ううん、違う。だけど、ミコトにだけは教えるね」
「う、うん……」
「凄く、えっちぃ、気分。かの住人たる故郷に帰還し、われらが王に抱かれたいと」
「……そんな。わたしは、ちょっとだけふわふわした気持ちだけど……」
「あはは。ミコトは、わたしみたいに酷い症状に至らなくて、良かったと、思う」
「ど、どうしよう……?」
「本当は切り倒した木をバラして早く拠点の洞穴に持っていきたいんだけど、ごめん。お願いしてもいいかな。本当に、ごめん。ミコト、アンタしかいないから」
「なんでも、言って……っ」
わたしは紅潮する顔を美琴の首筋に沈めた。そして、お願いを口にする。
「その、あの。わたしを……慰めてほしい、の」
「え……?」
「触って、欲しい。自分で触るだけじゃ、もう、満たされない……っ」
「い、いいの……?」
「わたしも、ミコトのを触るかもしれない。淫らで、不潔で、本当に、ごめん」
「いいよ、凄く、願ってもないよ!」
普段の美琴とは思えないほど力強く承諾されてしまった。
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