妄想デスやん

第5話 一生のお願い

　あのさ、ベランダの柵に頭を挟まれて動けない中国の子どもがいるよね。いや、柵だけじゃなくて、溝とか壁の間とか色んなパターンがあるけど、なんでこんなところにハマっちゃったかなぁという映像が流れるたびに思うんだよ。あれは絶対に超能力者だって。

　え？ そんなわけない？

　でもさぁ、たまにいい歳のオッサンまでがビルとビルの間に挟まっているのを見ると、これはもう中国の人たちの中に確実に超能力者がいるとしか思えないでしょう。だって頭なんて絶対に通るはずのない柵に、スポッと頭が通っちゃっているんだよ。超能力以外考えられないって。

　じゃあ、お前も超能力者なのかって？

　ないない。わたしがトイレの窓に引っかかってるのは不可抗力であって、頭が入るだけの大きさがあったから通れると思ったんだけど、最近太り過ぎだったのを忘れてて腹と尻が引っかかちまったって話で。超能力とは無関係ですよ。

　よくわかってるじゃないか。このチカン野郎？

　旦那、それを言っちゃおしまいだ。

　ところで、この事情聴取まだかかりますかね。そろそろこの体勢はキツくて気が遠くなりそうなんスよ。はやくレスキュー呼んでこの壁壊しちゃってくださいよ。

　これ、わたしの一生のお願いです。