23.拉致させて頂いたのです
その瞬間、カザロフスキーの横で、別の男が
「共産主義、か。私もまだまだ学ぶ必要があるが、計画経済の利点も問題点も、それなりに推測できている。申し出を受けよう」
しわ一つない
短い金髪に白い肌、顔つきも体格も
「だが、政治体制の構築は、あくまでこちらで主導させてもらう。それで良いな? フェルネラントの
「ロセリアの軍事物資となれば、小銃も最新式だよな? ラージャの奴に、
また一人、横に男が並んだ。背の高い黒色人種で、しなやかに引き締まった筋肉を、ペルジャハル帝国の砂色の野戦服に包んでいる。
バララエフの目の奥にも、一瞬だけ、鋭い光がよぎって消えた。
「な、なんだ、おまえ達は……?」
「あれ? カザフーじゃん。どこにでも
「お、おまえ達のせいだっ!」
カザロフスキーの
「ああ、もう! とんでもなく疲れたわ! 一晩でペルジャハルまで往復なんて、いくらなんでもシュシュがぶっ倒れてたわよ!」
「ありがとうございます、先生。ゴードウィン様も、ニジュカ様も、おかげで危ういところを救われました」
ジゼルが腰を折って一礼する。
ニジュカはともかく、ゴードウィンは民間人だからだろう。マリリもクジロイも、長い息を
バララエフも、いつもの陽気な笑顔で肩をすくめた。
「さて。それでは残る問題は、
「全然わからねえっ!」
ジゼルに向かって、いろいろ
「今までの難しい話の、なに一つもわからねえ……っ! だけど、
ワンディルが、
「大地の黄色と、森の緑だ! フラガナの国なら、この二色を必ず
仲間連中の内で最初に立ち、好き勝手を言う外国人達に、精一杯の見栄を張る。応援するように、
「良いでしょう。なかなか立派ですよ、ワンディル王」
ジゼルの言葉に、ワンディルが、歯を
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ゴードウィンはすぐに、
ジゼルが室内に入り、リントが、にゃあ、と鳴いても、資料から目を上げなかった。
「なぜ私を呼び寄せたのか、理解が難しいな」
「申し訳ありません。
ジゼルが笑う。
ヤハクィーネは、ペルジャハルにも
ラークジャート皇帝には事後通告でも良いと笑っていたらしいので、かなりの政務権限を
「私は植民地支配を運営する
「だからこそ、あのまま残務処理を終えて帰国なされても、
「それが道理だ」
「道理を
ゴードウィンが、ようやく視線をジゼルに向けた。
「ゴードウィン様は恐らく、本国からの収益要求に最低限で応じ、貿易商会内部や
「勝手な推測だ」
「残念ながら、エスペランダ帝国と敵対することもありましょう。ですが武装組織に
「……ざれ
「ゴードウィン様、一世一代のざれ
ジゼルの笑顔に、ゴードウィンの口元も、少し笑ったようだった。
「昼食の後にでも、関係者をどこかの一室に集めろ。
「了解しました」
ジゼルが一礼した時には、もう、ゴードウィンの視線は資料の上に戻っていた。
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