17.ばれやしません
それはそうだろう。全状況を
だが、ラークジャートを先頭にニジュカ、クジロイ、遠征軍と反乱軍の兵士達が肩を並べて堂々と中央通りを行進するに至って、一人また一人と
ラークジャートからの報告もなく、駐留軍の戦闘行動も一切の通達がなく、それが撃滅されたらしいと言う状況も貿易商会から何一つ説明がなかった。
誰もが
中央廊下の突き当たり、両開きの大扉の先、円形の
隣にはハシュトルと同じ
今やペルジャハル帝国の支配者たる地盤が崩壊した、エスペランダ帝国貿易商会の
ラークジャートが、
「なにも……申し上げる言葉を、持ちません……」
「言葉など必要ない。よく決心してくれた、ラークジャート」
ハシュトルが玉座を降りて、ラークジャートに歩み寄る。そして
「長き国内統一の内乱を
「……は……?」
ラークジャートが、
「兄上は父ムルディーン先帝の
「お……お待ちを……っ! なにを……なにを、おっしゃられているのか……」
「皇室の
ハシュトルが臣下の礼のまま、
「ばれやしません」
「お……お
「ラークジャート=パルシー! 言葉をお
セラフィアナが
「あなた様はおっしゃられました。御自分が帝国のため、ハシュトル様のためになにができるか、と……今、その答えを得たのです! もって
「お父様。私、セラフィアナも、これまでお育て頂いた
セラフィアナの
「ざれ
「あなたの娘、一世一代のざれ
セラフィアナもまた、ゆるがなかった。
玉座の広間に、ほんのわずか、張りつめた
「好きにするが良い」
明確に言い、もうセラフィアナを
両開きの扉の横に、
「これがそなたの
「
「……約束していた
少し笑ったような口元に、ジゼルも
ゴードウィンの去り
「無理をする。
「
ジゼルが笑いながらも、立つことはできず、座り込んだ。目線の先には、まだ
「兄上よりお
「あなたは……あなた方は……なんという、ことを……」
「あちらの
クジロイがニジュカの脇を
「良き政治を行い、国民を幸福にすること、皇帝たる資格は他にございません。そして今この国で、それをお持ちなのは、兄上を置いて他にございません。
ハシュトルが笑い、ニジュカも、クジロイも、にやにやと薄笑いを浮かべていた。
玉座の広間に、立っているのはラークジャートとセラフィアナの二人だけだった。
セラフィアナがペルジャハル帝国皇室の、
「陛下……私も、がんばりました。がんばった
砂漠の金の砂を
そして強く、深く、長い時間と距離を超えたであろうようやくにして、
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