12.目の前の標的に向かうだけさ
強固な
共用通路の天井は高く、無数の横穴から
それでも食糧の大半は外から購入したもので、
軍隊、兵士は生産性のない消費者だが、仮に兵士全員が労働に従事しても、食物の収穫量は比例しない。
西方からの補給路が押さえられた今となっては、遠からず、結果の
それが都市全体の
反乱軍の兵士達も、ニジュカの
この
ネクシャラ一座の舞台と天幕は、共用通路に長々と並んで、
「
「俺は解放奴隷だし、部隊の連中も似たようなもんだ。はっきりした目の前の標的に向かう以外、まとまりようがねえさ」
公共酒場の一卓で、ユッティとニジュカが
ヴィルシャを見張りに派遣して、マリリはメルルと
ユッティはいつものように、酔った
ニジュカは終始笑って相づちを打ち、難しいことは何一つ聞いていなかった。
「ユッティは
「最初のうち、そう言ってくれる奴は多いわよ。けどね、結局、自分より頭の良い女は生意気ってなるのよ、
「そんなこと言ったら、俺はどうにもならねえよ。自慢じゃねえが、俺より頭の悪い女なんていないぜ」
「昼間の戦闘、
「あれは
ニジュカが、広い肩をすくめた。
「ラージャの奴なら、違うんだろうけどな。あちこち行ってるなら、名前を聞いたことぐらいあるだろう? あいつ、昔っからすげえ頭が良かったんだぜ。戦争ばっかりやらされてて、もったいねえよなあ」
「ラークジャート将軍のこと?」
「ああ、そうだっけ。友達だったんだよ。悪いな、つい、呼び方が適当になっちまう」
「その人と戦争するんでしょ。そういう
「勝った先のことなんて考える頭がねえし、負けた後のことなんて考える必要がねえ。今夜も明日からも、目の前の標的に向かうだけさ」
ニジュカは
「よしといた方がいいわよ? あたし、こう見えて魔女なんだから。
「へえ、
「無神経に聞くわね……もう一人は、
ユッティは
「だから、次に
「俺だって結構しぶといぜ? 簡単には死なねえよ」
「
「ユッティを
ニジュカの指が、わずかに動いた。
「こいつも
ユッティが、口に運びかけた
「男の生き死になんざ、勝手なもんだ。勝手な男ばかりに
「……遠慮、ね。どうせなら、配慮って言って欲しいわ」
「どっちでも俺には
「あんた、どう見たって、長生きなんてできそうにないんだけど」
「根拠のない自信ってのも、大事だわ」
その言葉を言わせたものが何なのか、ユッティにも
遠く
ヴィルシャがそっと、足音を立てずに
外に出ると、
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