11.全力で蹴り倒しますね
ネクシャラ一座の
天幕や大道具の荷車も合わせて合計五台の、ちょっとした
今回の移動では、先頭のもっとも小さな
ヤハクィーネの支援情報、クジロイの状況も共有済みだ。
「さて。
「ありのままに話すのでは
「マリリちゃん。見ず知らずの男が会っていきなり、戦争なんかやめて愛するお兄様と可愛い
「……全力で
「やっぱり、
「まず、相手の
「んー、色仕掛けでどうにかなるんなら、やってみないこともないけどさ」
「ユッティ様、そんなことを
「いたたた、ちょっと、深刻に考えすぎないでよ。戦争で、命がけなんだから、下半身ならその手前くらいじゃない」
ユッティの苦笑に、マリリが納得していない
この辺りの価値観は個々で異なり、以前にジゼルも、人間の女には特別の意味があると言っていた。
ヴィルシャが、みゃあ、と鳴いた。必要なら力を貸そう、と、
その機会は、すぐに
砂漠を超え、北方遠景の、
ラークジャートが来れば
部隊を横にやや広く展開し、ラークジャートほど
反乱軍側は、やはり
戦闘は、すでに決着が近かった。
駐留軍が、徐々に戦列を押し上げた。注意深く、進んでは射撃し、交代の列が前に進み出て、また射撃する。
旧式小銃の射程に入る瞬間、
黒色人種を主体とした部隊だ。
悪夢のような近接白兵戦になった。駐留軍の前線は総崩れとなり、後方に
駐留軍兵士達は恐怖と混乱で、正常な判断をするどころではない。血塗れの
指揮官が、自軍兵士ごとの皆殺しを迷いなく決断できていれば、もう少し持ち
だが、無能か、人間らしさか、わずかに遅れた。そして飲み込まれた。
ラークジャートの部隊とは逆の結果で、勝敗が決した。
装備と地勢、どちらも良く理解した方が勝った。結果は逆でも、ラークジャートの現状認識が証明されていた。
反乱軍は
死者はすぐに風と砂に埋もれ、命を拾った者達も運次第だが、まあ、即座に殺されるよりはましなはずだ。
最後の
仲間を
短い
戦場で聞いた、あの口笛だ。背の高い黒色人種の男で、しなやかに引き締まった筋肉が、返り血で汚れた砂色の野戦服からのぞいている。
陽光を
「良いね、芸人も美人も大歓迎だ! 酒も、エスペランダの連中からかっぱらった
「ありがと。一応、上の人に取り次いでもらえるかしら? ここら辺は、ニジュカ=シンガって人の仕切りに聞いてるけど」
「いいぜ、目の前にいる。俺さ」
あまりに簡潔な答えに、ユッティがまじまじと相手を見る。
「あんたの名前も聞かせてくれよ。
「……ユーディット=ノンナートン、ユッティよ。まあ、よろしくね」
なれなれしく肩を抱く手に、ユッティが慌てて後ろに、制止の目線を飛ばす。護衛のマリリが、飛びかかる寸前の姿勢だった。
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