8.御意にございます
まったく、なにがどうしてこうなったのか、はなはだ
バララエフ中尉は
今すぐ叩き斬ってやりたいくらいだが、
ロセリア帝国陸軍情報部から勢力を拡大したという政治結社コミンテルンは、考えている以上に、あちこちに
案内された中庭でかしこまっていると、
「セラフィアナ=ゴードウィンです。その……商会員の方から、陛下に内密のお目通りを、とのお話でしたが……」
「ハシュトルだ。帝国のため、私の力になってくれる者と聞いている。
「
立て板に水とはこのことで、バララエフ中尉の口から、すらすらと
どうせ初対面で、重く飾っても
ここは乗る流れだ。
果たしてハシュトル皇帝が、マリリより2、3歳ほど下の年齢相応に、ほんの少しだけ泣き出しそうな顔をした。
「ならば、頼む。私を殺してくれ」
静かな言葉を理解するのに、一呼吸が必要だった。
「ハシュトル様、そのような……」
「良いのです、セラフィアナ。覚悟は決まっています。お二方、より正確に言えば……どうすれば帝国の
言葉使いも変わり、完全に皇帝の仮面を捨てた少年が、悲痛な
こちらを信用できる情報などない。それでも信用するしかないのだ。他に方法がないのは、こちらも同じことだ。
この相手になら
それしか持たない少年を
言葉を発しようとした寸前、わずかな物音が、第三者の存在を告げた。
「セラフィアナか。陛下を連れ出し、なにをしている?」
「お、お父様……っ」
セラフィアナ嬢が、白い顔をこわばらせた。中庭に面した廊下の一角に、しわ一つない
短い金髪に白い肌、顔つきも体格も
セラフィアナ嬢の
応じて、立ち上がり、
民族衣装の上もはだける。下着の替わりに昨夜と同じ、
一礼して、再度ひざまずく。
「旅芸人ネクシャラ一座の、
「
ハシュトル皇帝が機転を
ゴードウィン
「そのような
ゴードウィン
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