第28話
それからというもの、依里子は、どこをどうやりくりするべきかを、ひたすら考え続けた。
前月以前の食材費だけを見ると、毎月8万強。これがばあさん1人分。くぅ、なんて贅沢! 今までの自分の食費と比べると、とても惨めに思えてくるわ。
でも、これからは同じ食材を使うことになるのよね。自分の分だけ安い食材というのは難しいし、ということは、ここに自分の食材費が加わったとしたら、ばあさんの言うとおり、純増2倍か、それに近い額になる可能性はある。と、すると15、6万。今までのサービス込みの食費関連と、ほぼ同額。とてもじゃないけど、宅配サービスなんて使えない。けど、何とか他の部分でカバーできないものかしら。それか、自分で多少持ち出してサービスを継続? は、避けたいけれど…考えどころだわ。
それにしても、と依里子は思う。自分という後見人を迎えることで、それまでずっと利用してきたサービスを手放すことになるって。今後はともかく、今現在、生活に特段の助けを必要としてはいない。…じゃあ、ばあさんにとって、まだろくに後見もできていない後見人である私をここに置く意義は? 将来の保証のため? それとも…それとも、何?
いくら考えても、わからない。この件については一旦考えることを諦め、再びやりくりに思考を専念させはじめた。
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