Lēthē #深夜の二時間作詩「幻」

昇り詰めるまで

勇気ある賭けのようなものが


繋がれた暗渠から

吐き出されるアルファ

蜃気楼の架け橋を交錯する

おぼつかないだけの光と影は

刹那であり永遠のいろはを支え

礎の星屑とも懐かしんだ


淀んだ横穴から転移した記憶がさまよえる


薄明に閉じ込められた「わたし」という

墓碑銘を否定して授けよう血の色の刺青に

頭を垂れ息づいた包容力を内蔵した枯れ草よ


春に先駆けて咲き出した花の気配は


とらえどころない狂死曲であり

寓話は雲を掴むよな今として個々に

虚像にうずもれた「あなた」とは


点滅するシグナルと灯された街明かりよ


このてのひらに にぎりかえして

若い芽の膨らみと魂動のみちゆきに或り

周回する焦土と廃墟の楽園に置いて

手を休めたものは開腹されたことに気づかず


破廉恥な境を受胎する「彼女」になる


午前0:01 · 2022年2月6日






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