櫻の底 #深夜の二時間作詩「小さな世界」

 ##櫻の底

 きみとふたり、いくつかの思い出と照らし合わせ、指し示すように

 溢れる星屑たちの、願いは成就したのだ。

 またひとつ流れた光を認め、プラネタリウムの灯りがベッドサイドに沈むように。

 思い出は微かに、暖かで白い吐息に変わり、その隣りには、くぐもるかな紫煙の雲、

 天に薄まる刹那を感じる。

 そしてそっと散った事を知る。花は何処まで行っても、華でしかなかった。

 いついつまでもその手にはなにも残されはしないけれど。

 世界が終わるそのときまで、白昼夢の数を教えて、柔らかに微笑んでいたいものだ。

 桜の艶やかさ、慎ましさ、そして狂おしいほどの恋慕に地上は染まっている。

 いつかはばたくであろう白い鳩、青い鳥に導かれて、蒼穹を駆ける未来への

 祈りを携えながら。

 踏みしめていく、いつかだれかの墓標を

 誰もいないテラスの先に何気なく置かれた、大切な箱庭の蕾と共に。


午後10:44 · 2022年1月22日


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