どろぬま #深夜の二時間作詩 「泥酔」
なにもありゃしないのに、主は我侭に置いて乾きを春と架け渡すと華を添える。
その情火。充てがわれた詫び状のほかに展翅に及ぶ。
蒼白の空、開け放たれた単眼の先を膨らませ、歪められたヒナギクの白痴美、屏風の前で色を掃く。腐食した意思は、巌のような所懐を絡み、
薄く引き伸ばしただけの命が貪り合い、地獄に駆り立てる。
紙一重、分解されかけた軀が、元に戻ることはないように。
見ず知らずに訪れた劣等亭に誘い込む、平らげられた活餌に齧り付かれる耳朶は盲目的に なにかを、壊滅した差異の余韻がざらついた手で蠢く。
あらかた友のような温みを丸め込んで、誑し込む。躍らされた獣が唸るように、仕向けられた猫なで声は 中心から外れた幸福が首を落として ドグマに陥る。
埋め合わせた体を、引き寄せて差し出す蝴蝶に従いなにかを妊み出す、
陰と陽、息とし活けるものをかなぐり捨て、それで死出の旅と用足されるが、反目し合うノイズは 夥しい汚辱を宿したまま、
彩雲を残すように現実から飛翔する、
生臭く不明瞭の朧月夜に、千鳥足で。
午前0:09 · 2022年1月9日
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