#深夜の二時間作詩 彗星

街路樹は溺死したままでいて。


瞑ったまま 星の焔を数えたい

とおいとおいところ、想い浮かべては、

貫いていくものでしょう

たとえばメッセージカードに焼き点け、

バスケットに詰め込んでいった

冷ややかな熱を帯びた装飾の躰は


それで 永劫に かく語りき。


喰らい尽くした夏の海で、

天眼鏡で覗いた。未来への追懐を

深淵へ破顔した白雪を措いて。

落下点で喪失したままでいいから

そっと触れてみて


星の砂、つぶての半身を

燃やしたであろう

月明かりで切ないほど、

歪に育つ 断末魔、

毒林檎を呼んでいる


流浪の狼なんて、

羊の夢で、惰性に身を委ねた

光の帯はそこまで


外は眩しすぎて、

少し 削られた黒鉛で、

願いを丁寧に塗り潰した。


「安息香のため息」

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