朱の鱗 #深夜の二時間作詩 「桜、散る」

咲き乱れた椿の首を踏みにじる

まま、飲み込んだ君の瞳が綻んで癒る、

急な坂道に飛び火しあえたら、

そこはいまだに紐解かれた春やも痴れぬが

薄紅空の水葬には匂い立つ泥濘だけが

真実を遷し妍を競う

生まれ消えたものがいて無駄に憶える

年輪をしえる 百花繚乱

いくつかのリングと絡まり月光環とも

愛間魅せ錦織りなす 少しどころ天の川にも

真昼の否を浴びせるけれども

盲目に秘され いずれ劣らぬ

祠までの隔たりは強引に延び縮こまり、

竦んだ太陽を抱き殺したか、

撓んで見せては狂わせてしまった。

淵から覗く、貫くばかりの欠けた泪で

血潮なのだと 游ぎ魅せた

枢密約の尾ひれの点いた東風阿諛(あゆ)

小さな鳥居に惹かれゆくは

ベタな深淵を、

不可逆に潜らす、

朱きビー玉みたいなお飾りでしょう

日々割れて片鱗も剥がれる

排他的ときどきトワ 「桜、散る」



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