禁足地

     夜の桜に贄を与えたのはヒトの未練であろうねぇ

緋雨など零れてはおらぬのに、

何処にもいやしないのに

だれの花唄だろうか、

           もう囚わせない            

                    放熱__

 枯れ葉は埋葬された後で ぱちぱちと煩い 天涯は

  萎れた手に それでもわなないてしまって、

   そう泡沫の悼みだけの 夢路の併せへ

      囁きを憶える

        ひとつき

   透明なビニルに密閉された ふたりだけの臓器 

  まだ溜息を描いていて

  みつまたの潮風が 吹き出した、

 赤子をもねじる、きみのわらいこえも 

そのうち 紫陽           

      春    くぐもって、

      の    駆けだした、

      雷  やさしいあめに。

      いまもってずぶ濡れに熟れる皐月


この春の湿った薫りがのんきにも君を生かしてしまい

           だから僕は細く長く死んでいった。

君の為の神で有らせられる、はなびら

と、すぅとひとひらと平に 願いは叶うのだと折り込まれ

        たなびきたる アルバムの、滓に沁みる。






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