アノニマスの鷲
鍵爪を下ろして 蜜を湛えるまでほんの少し
距離を置き 蒼い壁面を舐めるように徘徊するものだろう。
虚ろ岩礁は
凪いだ海を割り
拓いた掌に注ぎ込み
誰も知らないうちに 冷えて固まった土塊を 君の眼孔という
穴に鎮めてゆく。
出来上がるまでしばしば 夢が見えるように 祈り願っている
環の短い毒を しげしげ
足元に零し乍 あれは何時のことかと
不必要にも首を拗じる。開けた腰から肋骨に擬態した朽它が
逃げ出していくのを 絡み始めた 参ツ編み とひとつにする。
その大法螺吹きのおちょぼ口で ようやと 噛み砕かれた
私が 目覚めた時には 貴女の 腹の中で
灯りはじめた 憎しみ まで 届かないよう 翳を踏んでいる
ふみしめている、だけだった。
角が取れ円くなった私たちが、
おやすみになって
堆積された土砂が隆起しただけだ
永いときを翔るアノニマスの鷲
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