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青いバック

第1話

やって来てしまった…。この日が…。

来ることは分かってたけど、やっぱり来た瞬間来て欲しくないと思ってしまう。


2/14これは全国の男子が浮き足になり、臭い下駄箱を何回も確認する日だ。

でも、この日に限っては臭い下駄箱も甘い匂いに変わる(人によってだけどな。)


勿論この俺もその臭い下駄箱を何回も確認し甘い匂いになってないかを確認する、哀れな男子に含まれている。


よし…。学校に行って下駄箱を確認するぞ。どうか甘い匂いになっていてくれ。

そんな淡い期待を抱きながら、家を出る。


学校に着いたぞ。

まず学校に着いてからする事は下駄箱を確認することだが、ここで大事なのはあからさまに見てしまうと周りの女子から、「うわアイツチョコ無いか確認してるよ」とキモがられる可能性があるので、それとなく見る必要がある。


意を決して下駄箱を開ける。

下駄箱の匂いは臭かった。

あぁ、今年も腐れ縁の幼なじみと母親のチョコだけか。


いや、腐れ縁の幼なじみから貰えるだけマシか…。

どうせアイツ放課後渡してくるだろ。


~放課後~


よし帰るか。結局誰からも貰えなかったな。

帰って幼なじみのチョコでも貰うかと思っていた時、教室の後ろ扉の方から、俺を呼ぶ声がしたので振り返るとそこに幼なじみが立っていた。


「アンタチョコ貰えた?」


「貰えるはずないだろ。からかってるのか?」


「はは、だよね。アンタが貰えるはずないよね。いつも私とアンタのお母さんからしか貰ってないもんね」


「うるせぇ。どうせお前今年もカップケーキを作って皆に渡して回ってたんだろ?顔下げてないでくれよ」


そう他愛もない会話をしてたので、幼なじみの顔をあんまし見てなかったけど、こいつは何故かずっと俯いたまんまだった。


「どうした?嫌なことでもあったか?あ!もしかして今日本命チョコ渡して、振られたか?」


「違うもん。今から渡すもん。」


「え?」


聞き間違いだろうか?今から渡すというのはどう意味なのだ?本命チョコを今から渡す?俺に?いやいやないない。多分聞き間違いだろう。


「本命チョコは今からアンタにあげるもん。」


「え?は?」


そう言うと幼なじみは俺の胸に乱暴にチョコの入った袋を押し付けてきた。

聞き間違いでは無かったようだ。


「ほらあげる。本命チョコ。」


幼なじみの顔は紅葉を散らしていた。

あぁ、こいつは本気何だな。腐れ縁のからからいとかではなく、本気で言ってきてるんだな。


「ありがとう。なんて言ったらいいか分かんないけど、これからよろしく。」


「!!ほんとに!?よかった…。振らたらどうしようって思ってたよ。」


「俺も一瞬戸惑ったさ。でも告白してる時のお前の顔を見て好きになっちゃったみたいでさ。」


「あんたよくそんな事恥ずかしげもなく言えるわね。」


「そうか?俺は言いたいことを言っただけ。だから恥ずかしくもない。」


「そう、あんたらしい。あ、チョコは家に帰ってから食べてね。ここで食べられるのは恥ずかしいから。」


「お、そうか?分かった家に帰ったら食べるよ。」


幼なじみから恋人に変わった、彼女と手を繋ぎながら帰る帰り道は、甘い匂いがしてた。

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